「国民の健康を考えたときの日頃の生活に注意すること」と「家族の健康を考えたときに日頃どうすればよいのか」は大きく違う。今の厚労省や医師会の医療は「個人が病気になってもかまわないが、国民全体の病気が減れば良い」という方針だ。
たとえば、その典型的なものが「血圧」だ。どこから見ても健康という人を150万人のうちから1万5000人選んで、その人たちの「平均血圧」というのを計算したら147、つまり150ぐらいだった。
だから「血圧は150以下が良い」というのは医学的に、医療の面でも、また科学的にも間違っている。まず、血圧は高い方が良いか、低い方が良いかというと、
1) 高いと血管系の病気になり、脳出血などの原因になる
2) 低いと血の巡りが悪くなり、ガン、腎臓病、認知症、熱中症の原因になる
ということで、どちらもどちらだ。
また、「平均が150と、上限が150」というのとは全く違う。医学統計では「まったく健康な人の平均の血圧が150だった」ということ、そのことしか言っていない。確かに「健康な人」の「平均」の血圧は150だが、「平均」というのは単に「真ん中」というだけで、180で健康な人、120で健康な人が現実にいるのだから、180の人が「平均より高い」という理由で「その人にとって正常な血圧」なのに150まで下げる必要はない。
また、血圧が120の人は「低くて良い状態」というわけでもない。180で健康な人と120で健康な人は同じだ。
しかし、これが「家族や本人の健康」ではなく、「国民の高血圧の病気を減らす」ということになると、まったく考え方が違う。血圧は体の血の巡りを保つために、末梢神経や腎臓で適切な血流量を決め、その血流量を維持するために血圧を決める。
たとえば腎臓の血流量が不足すると腎臓から心臓へ「もっと血を送れ」という信号が行き、心臓は筋肉を収縮させて血圧を上げ、血を送る。
しかし、血圧を高くすると、それは「体全体としては望ましい・・・ガン、腎臓病、認知症、熱中症が減る・・・けれど血管が破裂する危険性は増える」ということになる。そうすると厚労省や高血圧学会が「血圧と血管系疾病」という統計を取ると、「血圧が低いほど安全である」という結論が得られる。
そこで「血圧は低ければ低いほどよい」という奇妙な結論に到達して、それをここ20年も続け、「減塩食はヘルシーだ」という奇妙な考え方まで出てきた。上の血圧を50ぐらいまで下げるとすぐ死んでしまうが、血管系の病気には絶対にならない。だから、厚労省、高血圧学会、降圧剤メーカーはそれで良い。
個人の健康や生命などしったことはない。縦割り行政、縦割り医療だからだ。とんでもないことで、このブログでは、1)しっかりした事実に基づき、2)国民全体ではなく個別の家族や個人の健康、を中心にして「どうしたら病気にならないか」について整理し、考えていきたいと思う。
もちろん、今、心配されている福島を中心とした被曝と健康についても冷静に考えていきたい。
(平成27年8月16日)