かつて、自衛隊は違憲だった。そして日本社会党は「自衛隊は違憲で合法だ」とわけの分からないことを言って没落した。しかし、その後、長い年月を掛けて、どうも「平和憲法の下でも、自衛隊だけは共存できそうだ」ということで、自衛隊の方には悪いけれど、やや控えてもらって日本の防衛を頼んできた。
これは日本流の知恵かも知れないし、あのうるさい中国や韓国すら「日本は平和憲法なのに自衛隊がいるのはケシカラン」とは言ってこない。内政干渉という点では靖国参拝の方がずっと個別の問題であり、内政干渉だが、自衛隊については非難しない。
このような状態の中で、憲法9条は自衛力を否定していない(国家の存亡が危うくなっても自衛権もないとは規定していない)と解釈してきた。条文から言えば無理のように思うが、憲法の解釈も国民が決めるのだから、それで良い。現在は明確に「憲法9条は自衛隊を否定しない。自衛隊は軍隊で「自衛隊」という名前の軍隊だ」ということで解決済みである。
日本の周りに、中国、北朝鮮、ロシアなどの好戦国がいなくなれば、自衛隊もなくなるかも知れないが、現在のように中国が好戦的の場合は軍隊は仕方が無いと国民は合意している。これだけ繰り返し選挙があり、あまり争点がないときでも自民党が政権を持っているし、民主党、維新などの主要政党も自衛隊を合憲としているのだから、すでに「事実」であることは間違いない。
「戦争はダメ」と言っている人は「自衛隊という名の軍隊は良い」のだろうか「悪い」のだろうか? 戦争はダメは合意できるから、今回の集団的自衛権のことで反対している人たちは、まず「自衛隊は良いのかダメなのか」を明らかにしなければ議論にならない。良い悪いではなく、まずは意思を示さなければ民主主義にはならない。
(平成27年6月25日)