不治の病に伏した母は近親者にもらした・・・
 

「私はまもなく死にます。

あの子は母親を失うのです。

子供が母と別れて悲しむのは優しくされた記憶です。

憎らしい母なら死んでも悲しまないし、その方が新しいお母さんにかわいがられるでしょう。」
 

母は見舞いに来た子に八つ当たりし、叱り、そして死んだ。

子は母を深く恨み、それが心の傷となって社会の闇に沈んでいった。やがて彼が目覚めたのは偶然にこの母の言葉を耳にしたときだった。涙が止まらなかった。
 

(言葉は伝承と違い、一部変えています。)

(平成27419日)