私は歳をとっていますので、私の若い頃の「明るい日本」というのを知っています。経済的な発展や松下電器(ナショナル)、ホンダ技研などが活躍した時代でしたから、「明るく、前向き、正直」であったと記憶しています。それは本田宗一郎の写真を見ればすぐ納得できます。つまり前向き社会だったのです。

その頃の日本でもし花粉症がはやったら、すぐ誰かが「スギを切れば良いじゃないか」と言ったと思います。花粉症は公害ですし、花粉はスギやヒノキから出ていますし、スギもヒノキも人工林で定期的に刈り取らなければならないものです。それはイネを秋になると刈るようなもので、別に自然がどうのというものではありません。

むしろスギが花粉を出すのは適当な時期に伐採してくれないので、なにか異常が起こったと思って子孫を作るために過剰の花粉を出しているに過ぎないのです。

「花粉症を抑えるのはもともと伐採する予定のスギを切れば良い」のです。そんなことはあまりにも当たり前ですが、だれも「スギを切れ」と言わないところに現代の日本社会の奇妙さがあります。

また温暖化にしても、もし二酸化炭素で気温が上がっていたら(私はそうは思いませんが)、海に筏を作ってじっくりとかき回せば、炊いている途中の風呂のようにすぐ冷えます。なんと言っても水は体積当たり空気の比熱の3000倍ですから。

困ったことが起こったら、その原因を除く・・・それは日本人のもっとも得意なことだったのです。風邪で頭痛が起きると、アメリカ人はアスピリンを飲み、日本人は抗生物質を使うというのは、日本人が「原因を除きたい」という思考をしていたからでもあります(風邪にはあまり抗生物質は有効ではありません。風邪に伴う細菌の炎症に効果があるだけです)。

物事をそのまま受け止め、素直な対策を打つ社会を望みます。時間がない議論が面倒だということで「予算取り」のために仮装社会を作るのは子供たちの日本のために良いことではないと思います。

(平成27314日)