人間はむつかしいものだ。自分に自信があり他人を見下しているような人が傲慢で、自信がなくビクビクしている人がコンプレックスを持っているならわかるが、傲慢とコンプレックスが同居している人はややこしい。でも、それが今の日本人の大半のような気もする。
温暖化で二酸化炭素を「悪者」と思っている人が日本では大半(ほとんど全員)である。でも世界で「二酸化炭素を減らそう」としている国はほとんどない。
北アメリカにはカナダ、アメリカ合衆国、メキシコを中心としているが二酸化炭素を減らそうとしている国はない。南アメリカはブラジル、アルゼンチン、チリなどがあるが、陽気な人たちだから100年後の気温を心配して今日の電気を消すなどという極端なことはしない。
アジアもこれほど多く国があるのに二酸化炭素を問題にしている国は日本だけだ。アフリカはもとより環境の意識が高いと言われるヨーロッパですら、南ヨーロッパ、東ヨーロッパ、ロシア、あの北ヨーロッパですら二酸化炭素を減らそうとしていない。
あえて言えば、イギリス、ドイツ、日本だが、イギリスはプラス5%(1990年基準を1997年に直した数値、実質減少目標)、ドイツはプラス11%で、日本だけが世界で唯一、マイナス(二酸化炭素を減らそうという国民的合意があった国)である。なぜ、「日本だけ」なのだろうか?
[傲慢]
「なぜ、日本だけ二酸化炭素を減らそうとするのですか?アメリカも中国もどんどん出しているのに」と聞くと、「彼らは温暖化の恐ろしさを知らず、経済優先だから」と答える。傲慢だと思う。
もともと二酸化炭素の温暖化を警告したのはアメリカで、その次にドイツ、日本は追従したに過ぎない。その後、アメリカやドイツが「二酸化炭素は温暖化の原因ではない」と変えたわけでもない。彼らは「恐ろしいけれど、対策はいらない」という態度を25年(1988年の警告から2013年まで)続けてきて、今でも変わっていない。
日本人が金科玉条のようにしているIPCCはもともとアメリカが中心で作って、賛成したのはイギリスとドイツだった。日本では小学校でも教えているようなことをなぜ、長期戦略の得意なアメリカが動こうとしないのだろうか? なぜ、日本人は言いだしっぺのアメリカがやらないのに、一人、頑張っているのだろうか?
[コンプレックス]
日本しか二酸化炭素を削減しようとしていないのに、外国のNPO(任意団体)が「日本は真面目に二酸化炭素を削減しようとしていないので化石賞を授与する」と言うと、日本の新聞に大きく出る。
慰安婦や南京事変と同じように、自虐的な日本人は反日日本人が日本を悪く言うと嬉しくなり、それに従い、そのうちあたかも日本人の意見のようになる。
もう一つは「白人コンプレックス」だろう。日本は世界でももっとも古い歴史と文化を持つ国で、学問、文学、芸術、社会、平和などについて世界でもトップの国のひとつである。でも、少し前は中国コンプレックス、そして明治以来には白人コンプレックスから抜け出すことができない。
「ドイツがリサイクルしているから」、「ドイツが太陽光発電をやっているから」というのは、戦前、「ドイツにはヒットラーという偉い人が居るから」とまったく変わらない。「ドイツ」というと印籠みたいなもので、日本人は「ハハーッ」と平伏する。情けない国民だ。
アメリカ元副大統領の自宅(事務所ではない)の1ヶ月の電気代が30万円でも、彼が「節電しよう」と呼びかけると日本の女性が感激してブログに書く。結婚式となると信じてもいないのにイエスの前に愛を誓い、黒髪を茶髪に染める。
これも仕方がない。日本人は傲慢とコンプレックスが同居しているのだから。でも教育者としては悲しい。なんで、こんなに奇妙な国民になったのだろう?
(平成26年10月31日)