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海水浴に行くと実に気持ちが良い。少しずつ体を海に沈めていくと、足の裏には逃げていく砂の感触、時には周りにまとわりつく海藻・・・すべては満足できるものだ。少し深くなって足が冷たくなると泳ぎだす。プールと違って目標がないし、波もたっているけれど、やはり海で泳ぐ感触には独特のものがある。

 

人は海から生まれた。かつて太古の昔に海で発生した生物は、しばらく紫外線が強くて陸上には上がってくることができなかったが、そのうち、成層圏にオゾン層ができて陸上にも生物が上がってくるようになる。

 

これも不思議な話で、私たちは海の中ではたちまち窒息してしまうのに、魚は悠々と海の中を泳いでいる。水族館に行ったら、親は子供に鰓呼吸と肺呼吸の差や、魚の形と陸上動物の形の違いなどを話してあげると「理系人間」が増えるかもしれない。

 

ところで、私たちの体の成分はまだ「海の時代」を覚えている。人間の血清中の元素は、海の元素の割合とほとんど同じで、よく「有害金属」と言われる鉛、水銀、カドミウムなどや、もちろん銅、亜鉛、ヨウ素などに至るまで、あらゆる元素を含んでいる。そして、微量であることやまだ人間の代謝系がはっきりわかっていないことから、「おそらくこの元素は腸の一部で触媒として働いているのだろう」という程度しかわからない。

 

だから「人間に必要な元素」を「有害元素」と言って排斥しようとする「環境運動家」も多い。いったい、こういう人は環境を大切にしようとしているのだろうか? おそらくただ「補助金がほしい」というだけで、人が必要とする元素を排斥し、人を病気にしている可能性が高い。

 

その典型的なものが亜鉛で、環境省の女性課長や環境運動家が「ウスバカゲロウ」という小さな虫を出してきて、過度の亜鉛の規制をして、多くの「味蕾不全患者」を出した。彼らにとってみればウスバカゲロウのほうが大切で、人間が病気になることは環境を破壊することに入っていない。

 

人間は海から生まれ、多くの食材を海や陸から得ている。本来ならば「自然の循環」が食材や死骸などにもおよび、自然の中で人間が暮せば、精神的な不調、ウツ病などは大幅に減るし、体調の不調も問題にならなくなるだろう。

 

海岸で真っ黒になって遊んでいる子供たちは本当に健康そうで、およそ青白い子供たちに見られる精神疾患はない。私のような高齢者でも海岸でひと時を過ごすと風邪もひきにくくなる。

 

人間は特別な生物ではない。どの時代もその時代を支配する生物はいるのもので、その生物のいいようにされてしまうのも仕方がない。でもそれも合わせて自然の摂理というもので、「人間が自然を破壊する」などということができないのは当然でもある。人間そのものが自然の一部であり、コンクリートも酸化カルシウムと二酸化炭素からできたものであり、鉄鋼も海に溶けていた二価の鉄が生物の吐き出す酸素で沈着したものを、還元したに過ぎない。

 

私たちにできることは、できるだけ生物として接する自然、つまりコンクリートの建物はよいけれど舗装はダメというような自然、やや四角いものを避けた自然の風景が入っていることであり、それには生物、伝統、そして深い思考が必要と思う。

 

(平成2684日)