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2014年7月7日、気象庁が「50年に一度の最大級の台風、7月では過去最大」と発表し、できたばかりの特別警報を発した台風8号が沖縄を襲った。家を出るときにNHKが報じる台風のニュースを聞いて、大阪のホテルに入った私はイギリスBBCが「10年来の大きな台風」と報じているのを聞いて、どちら(50年に一度か?10年来か?)が正しいのかと訝った。
ここでは、2014年の台風8号事件を中心として、気象庁やNHKがなぜ誤報をくり返すのかについてデータを見直すことによって解析を試みたいと思う。
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最近、異常気象が起こると言われ、それはいわば日本の常識であり、マスコミの空気でもある。それは全体としてみたならば正しいだろうか? まず台風だが、これはかなり指摘されているように、20世紀の前半から中盤と比較すると最近、著しく台風が減少しているとされている。次のグラフは日本近海における台風の発生数だが、1960年代にピークを打った後、徐々に減少している。
この減少は、1940年から1980年まで地球の温暖化が止まって気温が下がっている時期であり、その時期に台風が増え、その後、温暖化が進んだ1980年以後は逆に台風が減少するということを示しており、多くの研究者がコンピュータで予測している傾向と全く反対になっている。
特に温暖化の恐怖を示すために、大学の先生が「コンピューターで計算したら温暖化すると台風が巨大化する」というような結果を発表し、メディアが追従するという例がみられるが、コンピュータで台風の発生やその規模を計算するためには、複数の複雑な方程式を解く必要がある。
この場合の問題は、計算そのものにあるのではなく、計算の中に入れる具体的な数値である。パラメーターと呼ぶこともあるが、たとえば海からの蒸発速度、海の表面の状態、風の状態、気流の動く速度など多種類があり、そのパラメーターを変えれば結果を自由に変えることもできる。
また、大気は平面(2次元)ではなく、3次元なので計算のグリッド(細かさ)をどのぐらいにするかによってもかなり結果が変わってくる。つまりコンピュータの計算は、本当の事実を知りたいということを強く思うことが必要で、「こんな結果がほしい」と思えば、たとえ故意ではなくてもほぼ希望に沿った結果を与えるところが、これまでの多くの学問のトリックにコンピュータが使用された理由でもある。
次に、年度別の詳細な上陸数を見てみることにする。少しグラフが醜いが横軸が西暦、縦軸が上陸した台風の数である。ちょうど戦争の終った1945年ごろからガクッと上陸数が減り、1960年に一度、増えた以後は歴然と少ない。グラフの中の線は、1960年以前と以後の平均であるが、20世紀の前半の方が明確に多い。
まず、第一の傾向は、「最近、50年ぐらい、大きな台風は経験していない」ということです。それが何を意味するのかは、まだ不明です。
(平成26年7月18日)