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戦争が終わり、アメリカ軍の占領もなくなってサンフランシスコ条約が結ばれ、戦犯と言われた人たちも無罪放免になり、日本が再び独立したのは、簡単に言えば1950年を過ぎた頃でした。それから約70年、日本は実に奇妙な「安全保障」を続けてきたのです.まさに日本流「本音と建て前」の防衛でした。

 

建前は、なんと言っても「平和憲法」で、日本には軍隊がなく、武力も使わないというのですから、誰でも攻めてきて良いですよ、無抵抗で国を明け渡します、と言うのですから、これはもう大きな国としては歴史的にあり得ない状態でした。

 

それなのに日本の領土で、その後、他国が侵略したのは竹島だけで、韓国が武力でとってしまいました。竹島はサンフランシスコ条約で日本領土になっていましたから、侵略されたと言って良いでしょう. しかし、不思議なことにそのほかの日本の領土は60年間、まったく侵略されなかったのです. そして2011年の尖閣諸島事件が起こったのですから、実に不思議な感じがします.

 

でも、もちろん、その理由は明確で、(自衛隊+在日アメリカ軍+日米安保条約)のセットです.これほど明確な「軍隊と武力行使の意思」はないでしょう。まず世界で10指に入る武力を持つ自衛隊、世界第一のアメリカ軍の派遣部隊、それに日本が攻撃されたら武力で守るという協定の組み合わせですから、これが憲法違反でなくて何というのでしょう。

 

ところが、政府は「合憲だ」と言い、平和憲法を擁護する平和主義の人も、驚くべきことに「平和憲法を守れ」と言っているのだから驚きます!! 2014年(今年)は集団的自衛権というものが閣議決定になり、さらに日本はより積極的に「国際紛争を武力で解決する」という政策をとるようになりました。骨抜き憲法といえるでしょう。

 

私は、現行憲法の平和条項をそのまま守って、日本を守ることができると考えています。それは形式だけ平和憲法を守り、アメリカ軍が駐留して、自衛隊が集団的自衛権を発揮して海外に派兵するという形より遙かに平和を保つことができる方法と思っています。

 

なにしろ「どうしたら日本の平和を守り、自衛できるか」ということはほとんど議論されていませんでしたので、下の5つの項目は違和感があると思います。今までは「平和主義」では「憲法を守れ」だけでしたし、政府の方が「軍備がなくてなんで平和が守れるのか」の一点張りで、議論がかみ合わなかったからです。

 

  1.  核兵器に対する「報復の権利」を継続的に主張する
     
    国家の持つもっとも大きな権利は「報復の権利」です。他国を攻めるときには、「我が国が得をするから」という理由では正当性が得られず、つねに「やられたから、やる権利がある」という理屈です。
     
    それが、アメリカが西進の時に使った「リメンバー**」であり、日本でも「仇討ちの権利」として認められてきました。
     
    日本は世界で唯一、原爆を落とされた国であるので、核兵器を使うことになると、世界でもっとも優先権を持っているのは日本です。だから、まず日本は外交的・社会的・学問的に、「核兵器を準備できる国は日本だけである。そして次に核兵器を使える国も日本である」という「報復の権利」をはっきりと主張することが大切です。
     
    その次に、「日本は核兵器を持たず、使うつもりもない」ということを宣言するのです。そうすると、「日本が真っ先に核兵器を使えるのに、日本は使わない」ということになり、世界でどの国も核兵器を使えなくなるという論理です。
     
    北朝鮮が核爆弾とミサイルを持っているように、技術的には今後、ほとんどの国が核兵器を持つようになるでしょう。アメリカがアジアから後退すればなおさら核兵器の拡散は増大します。その歯止めを日本が国際的にやることがまず第一です。
     
    日本が「報復の権利」を主張し、「核兵器を持たず、使わず」を宣言していれば、中国やロシア、北朝鮮も日本に対して核攻撃をできないと考えられます。今回のウクライナの問題でロシアがクリミア半島しか進出できず、結局、国際的な圧力でウクライナの東半分をとることを断念せざるを得ないように、国際的な強調が大切な時代になっています。

  2. 完全自動、専守防衛技術を作る
     
    もともと、軍隊というのは「戦争をしないために存在する」ものです。それは自宅に鍵をかけて強盗に襲われないようにするのですから、軍隊=鍵 なのです。ところが、「明日は奴が強盗になるらしいので、今日、彼を懲らしめておこう」などと考えるから戦争になります。
     
    つまり、軍隊が人間だから、余計に気をまわすので、集団的自衛権なる奇妙なものが生まれます。もし、世界最強の軍隊が「人間なし」でできれば、専守防衛が可能です。
     
    たとえば、国境線、領海外郭線および宇宙の静止衛星に、レーザー光か高精度ミサイル破壊兵器の配備を行い、日本の領空や領海に無断で侵入する航空機や船舶があったら、瞬時に破壊する装置を日本の技術力で作るのです。
     
    時に、間違うといけないので、一回目の侵略の時には警告にして、日本中に戒厳令を敷き、国民は直ちに戦闘態勢に入って、次の侵入に備えるのです。すでに不意の核攻撃は国際的にできないので、これで十分に国を守ることができます。
     
    幸い、日本は四面を海に囲まれているし、技術力は世界で第一なので、すべて可能です。つまり「ハリネズミ方式」で、日本から決して外に出ないけれど、日本に入ってくる敵は必ず破壊するということです。
     
    また海上の輸送をする船舶の護衛は日本海軍が護衛します。つまり自衛だけを全自動でする軍隊なら、平和憲法の範囲ですから、問題はありません。すでに国民のコンセンサスを得ているように、「武力を使わない」というのは日本人が日本国の中で殺されることを含んでいませんから、平和憲法はそのまま継続することができます。(少しわかりやすく書き直した方が良い)
     
    この「完全自動、専守防衛システム」を運営するのはもちろん、憲法を改正し、「自衛だけの軍隊」を明記した「日本軍」です。プライドをもって「軍隊は本来、平和を維持するものだ」ということを世界に示すので、集団的自衛権も持ちません。

  3.  自由貿易体制をすすめる
     
    第二次世界大戦がアメリカの鉄と石油の禁輸がきっかけになったように、また第一次世界大戦後の世界が不安定になったのが、ブロック経済圏(ドルブロック、ポンドブロック、金ブロックなど)の存在でした。その意味で、現在もEUNAFTAASEANなどの地域ブロックが力をつけ、TPPのような一歩進んだ協定がなかなかうまくいっていません。
     
    日本からアメリカに輸出される自動車の関税は3.5%、それに対してアメリカから日本に来るお米の関税は778%。日本のお米を守れというけれど、アメリカの自動車会社は日本からの輸出ですっかり衰退しました。日本が損をするのはダメだが、これでは「ズルい」と言われても仕方がありません。
     
    お米が日本の大切なものであることは間違いないのですが、それを「高い関税」だけで守るということはあまりにも知恵がないので、自由貿易を目指して、国内でどのような工夫をするのか、地域レベルの票とは切り離して、学者が研究をしなければならないでしょう。
    TPP
    ISD条項も同じです。確かにアメリカから提案されているISD条項には問題点が多いけれど、本来は貿易立国である日本が、アメリカの提案を待たずに「ものの関税とは違うサービス産業の自由貿易の損害を減らすシステム」を提案する必要があります。
     
    つまり「平和を守る」というのは「軍隊」だけではなく、「紛争にならない環境」を整えるのがより大切です。

  4.  アメリカ、東南アジア諸国との連帯を強める
     
    アメリカが西進を止めましたから、アメリカは危険な国ではありません。また、台湾、フィリピン、ベトナム、インドネシア、オーストラリアも危険ではありませんので、ラオス、カンボジア、マレーシア、ミャンマーと一緒に連帯を強めて防衛することができます。
     
    「国際社会」というのは抽象的ですが、不断の努力によって国際社会の信頼を得て、経済関係とともに実質的な自衛をすることができると考えられます。

  5.  一かゼロかを止めて、「複数国土」の新しい概念を作る
     
    尖閣諸島、竹島、それに北方四島が「紛争国土」です。そこで、世界に先駆けて「国土は一かゼロかではなく、「複数国土」がある」という概念を立てて、紛争の原因となる付近の問題を処理するがもっとも適切と思います。尖閣諸島を中国と、竹島を韓国と、そして北方四島をロシアと「共有」し、すべての権利を両国で持つということで、将来の「国境なし」についての日本の意思を示すことが望ましいと思います。

    いずれにしても、他国を批判したり、単に形式的に平和憲法を守ろうとしても平和は訪れません。どうしたら「恒久平和」がもたらされるか、深い議論が必要と考えられます。ここに示した5項目は順次、さらに詳しく検討していきます。

 (平成2673日)