年金課長が「年金をしまっておいても意味がないから、使ってしまえ」と言っている理由は、なんだろうか?
1)お金を取っておく金庫がない、
2)お金の総額があまりに大きく銀行というわけにもいかない、
まずは現実的に集めたお金をしまっておく金庫がない。近い将来は150兆円にもなる厚生年金だから、日銀より大きく、市中の銀行に預けても、銀行をその現金をどうすることもできず、貸し出して焦げ付けば、銀行そのものがつぶれてしまう。
とりあえず現金を金庫にしまっておいたら、政治家が来て「俺によこせ。うまく運用する」と言うだろう。40年もの長きにわたり、とっておくことができないお金なのだ。
第二の理由が「インフレ」である。
3)もし1億円の年金が集まると、それを今年使えば1億円の価値がある、
4)もしそのお金を40年間、持っておくとたとえば10分の1になり1000万円の価値しかなくなる、
5)だから、年金課長が言うように「早く使ってしまったほうが得をする」ということになる。
この発言は、良く言えば「国民も自分も同じ家族だから、40年後に1000万円の価値のものを国民に渡すぐらいなら、家族である自分が今、1億円を使ったほうが得だ」ということになり、悪く言えば「国民から集めたお金を自分のお金と思っている」ということになる。
いずれにしても、年金課長の言っていることは「腹立たしいが正しい」。だから最初から「積み立て型年金」に反対しなければならなかった。だれが「揺りかごから墓場まで」などと言ったのか?!
「国民一人一人が年金を収めると、40年後にそれが返ってくる」というのは現実的にはあり得ず、「国民一人一人が年金を収めると、その10分の1ぐらいは返すことができるかも知れない」ということだ。
でも、そう言ったら、国民は年金制度に反対するだろう。そうなるといつまでも日本には年金制度はできない。だからここは国民をだまそうと言うことになった。その時に、年金を解説した東大教授や専門家はもちろんこの仕組みを知っていたが、「国民はだますしかない」と思い、わかりにくい年金の仕組みなどを説明してお茶を濁した。
「集めたお金はどこの金庫にしまっておくの?」
「お金はしまっておいたら価値が下がるんじゃないの?」
ぐらいの質問はすべきだったのだ。
(平成26年2月12日)