2月下旬から愛知県立美術館で、ヨーロッパの点描画の展覧会が開かれます。とても楽しみです。
ルーブル美術館、メトロポリタン美術館、エルミタージュなどの世界の大美術館に行っても見ることができない名画が名古屋にくるのですから、驚きです。展示される画家は、一世を風靡した印象派の絵画のあとにヨーロッパ絵画に誕生したスーラ、ゴッホらのものです。
なぜ、これらの作家の絵が大美術館に少ないのかというと、蒐集したのがヘレーネ・クレアーという一人の富裕な女性で、彼女が生涯をかけて蒐集した名画は、オランダのオッテルローの山の中、デ・ホーヘ・フェーリュウェ国立公園にあるからです。
ビジネスはもちろん、観光旅行でもなかなか行くことができない山の中にひっそりと展示されている名画が、こうして名古屋の美術館にぶらりと行けば見ることができるようになるというのだから、まさに大きなチャンスと思います。
芸術にお金のことを言うのもなんですが、おそらく展覧会は1500円ぐらいと思いますが、東京に行っても往復2万円はかかりますし、ましてオランダ往復となると到底、財力を超えます。だから、1500円の入場料だとすると、片道750円のところでゴッホやスーラを見ることができるのですから、とても貴重です。
多くの人が知っているゴッホの自画像ですが、ゴッホは生前にはほとんど絵が売れなかった(一説では1枚だけ売れた)のですが、その中でヘレーネ・クレラーが蒐集したので、280点余りのゴッホの絵を持っているのです! (油絵は86点ぐらいと記憶しています)
点描という技法をあまり知らない方はこの絵を見て、「なんですじのようなもので書かれているのか?」と疑問を持たれると思いますが、それが点描であり、だからこそ、色彩が豊かで自然に近い、より優れた絵画が誕生したともいえるのです。
でも、やはり点描というとスーラです。この絵はスーラの代表作の一つですが、今回も展示される予定です。スーラと言う人は間違いなく色彩という点で天才だと思います。普通の名画と言われるものは絵具を混ぜているので、どうしても濁った汚い色をしているのですが、スーラの絵は輝くばかりです。
19世紀の終わりですから、今から120年ほど前に書かれたこの点描画の一群は実に美しく、人間によって自然がけがされる少し前に書かれたものとしても私たちの心を強く引き付けます。
(平成26年2月3日)