マルハニチロの冷凍食品にマラチオン(農薬)が混入していた事件は、容疑者が逮捕されて一段落しています。マスメディアは、いつものように犯人像や製造工程の不備などを問題にしていますが、これを「国民側」から見ると、なにが大切なのでしょうか?
従業員との関係を良くしておくとか、製造工程を改善するというのは「会社側」の対策ですから、経産省や経団連が直ちに見解を発表し、対策に乗り出すべきです。(経産省も経団連も「関係ない」という態度ですが)。 しかし、「食べる側」の視点でこの事件を見てみなければいけません。食べる側から見ると2つの大きな点があります。
1)初動体制と被害の拡大を防ぐ即応体制
2)被害の拡大と捜査の関係と情報開示方法
昔のようにお母さんが家族の食事を作る時代ではなく、大量の加工食品が瞬時に日本社会に運ばれる「食材供給社会」においては、ある製品に毒物が混入したということが分かったら、消費者庁が直ちに「非常警戒態勢」と「非常線」をはって、その食材の拡散防止と回収をすることが大切です。
つまり、「凶悪犯人が逃走している」という状態を同じなのです。凶悪犯人には国民がナイフで傷つきますが、毒物の入った食材では、毒物がナイフだからです。でもまだ「非常線」が張られなかったのは、新しい事態が本質的に何を意味しているのか?が?を社会が理解しなかったことと、消費者庁が「自分たちは何をするために税金で雇用されているのか」を理解していないことによるでしょう。
また、事件発生が11月13日ごろ、発表が12月29日ごろ、消費者庁が本格的な資料を出したのが1月9日ごろとなり、また9ケの毒物入り食品と、1800人の被害者の関係などほとんどの情報が開示されていません。
これが会社の秘密体質なのか、捜査の問題なのか、これも今後のこのような事件の情報開示に対してどうしても明らかにしておかなければならない重要な検討事項です。
(平成26年1月29日)