人生には2つ、することがあります。一つが自分自身が生きること、もう一つが次世代を作り育てること、です。このうち、「自分自身が生きる」というのは残念ながら「生きがい」にはなりません。これは社会的なことではなく、動物としての本能なのです。
イギリスの学者、ドーキンスは「私たちの体は遺伝子の運び屋に過ぎない」と言いましたが、それほどでもないとしても、次世代がいない生物はいません。だから次世代こそが生きがいになります。
(注)次世代というのは「自分の子供」ではなく、「その種族全体の子供」です。かつて結婚もしていない独身男性が日本のために戦場で死んだのは、「日本民族の子供」のためで「自分の子供」のためではありませんでした。
有性生殖が進化に有利であることが数10億年前にわかって以来、生物はオスとメスに分かれ、多細胞生物になって役割を分担しました。メスは子供を産み育てるからだと頭脳、オスは戦う筋肉と論理的頭脳を持つようになります。
なんといっても最も大切なのは「メスが子供を産む」ということと、「生まれた子供は母親を認識する」ということです。メスが子供を産むのは体の構造で決まっていますが、子供が母親を認識するというのは頭脳の中ですから、多くの人にはピンとこないし、「女性だけが子供を育てるのはおかしい!」という話にもなります。
動物の話がそのまま人間に適応するわけではありませんが、動物でも人間でも「父親は自分の子供を認識できない」という実験例や社会例は多く見られます。もっとも顕著なのはブルース効果といわれる「籠の中にラットの親子を入れた実験」があります。
詳しくはすでにこのブログに出していますので、省略しますが、父親は自分の子供を直接、わかるのではなく、自分のメスのそばにいる子供を自分の子供と思うという「間接的認識」であることがはっきりしています。だから子供の方も「父親は自分のことをわかっていない」ということがわかるので、警戒するのです。
つまり、女性は25歳までに子供を2人産み、50歳まで2人をそだて、次世代を作るという人生でもっとも重要な仕事をする権利を与えられていますから、幸福です。たとえ、たまたま子供に恵まれなくても、「女性全体の平均」ですから、充実しています。
それに対して、男は女が18歳まで育てた子供がその後の人生を送ることができるように、農耕民族なら畑を、狩猟民族なら狩猟地を確保することが役割でした。通常、それには戦争が常でしたから、「土地争いの戦争」のために、25歳までは兵役を、50歳までは戦争に行って死んだのです。
兵役は1年半から2年ですが、これは女性が二人に子供を産む時間(10月10日×2)になっていて、民族や国家に対する義務を男女平等にしています。また、2人の子どもを18歳まで育てる女性の苦労とのバランスを取るために、男性は徴兵され、戦争で死にました。
でも、今は戦争がなくなりました。女子学生ははっきりした将来の人生を描くことができますが、男子学生は目標のない寂しい人生に戸惑い、ウロウロしています。私はかわいそうに思います。
なぜ、女性はここまで若い男性を追い込むのでしょうか? 女性が家庭を持ち、子供をつくり(平均的にという意味で、お子さんがいない方も貢献しています)、老後はお世話をするということではっきりとした人生目標を持つことができるのですから、目標のない男性(本当はあります。それは次回に)も政治、経済、軍事、環境などの分野での生きがいを与えるようにすれば、みんなが幸福になると思います。
現代の女性は女性だけ幸福になりたいと思っていますが、そんな状態はあり得ません。
(平成26年1月24日)