ある講演会でお聞きになっている方から「私のおじいちゃんはビルマで戦死したのですが、なぜ、私のおじいちゃんは英霊なのですか?」(ビルマは現在はミャンマーと呼ばれる)と質問された。聴衆の方もおられ、若い人でやっと質問された感じだったので、それ以上、お聞きすることはできなかったが、「日本が侵略戦争をしてビルマまで行ったのだから、英霊と呼ばれるのも」というニュアンスだった。
私の答えは次のようなものだった。
「歴史的なことは、現在の価値観で考えるのではなく、その時の価値観で見なければいけません。16世紀から20世紀の前半まで、白人が世界のほとんどの国を植民地にしていました。有色人種の完全な独立国は日本しかありませんでした。
植民地にされたアジア人の運命を二つ、紹介します。一つはイギリスの植民地になったインドですが、優秀な若者は両手首を切り落とされました。もう一つはフランスの植民地のインドシナ(ベトナムなど)ですが、ここでは反抗的な若者が街頭で逮捕され、そのまま死ぬまでコンクリートの床の独房に入れられました。
私たち日本人だけがそんな目に遭わなかったのは、私たちのおじいさんが「戦ってくれた」からです。今では戦争は悪いことになっていますが、おじいさんの時代は白人が侵略していましたので、女性や子供を守るために戦わざるを得なかったのです。
ビルマまで日本軍が進軍した大東亜戦争でも、日本が戦ったのはアジア人ではなく、白人とアジア人で唯一白人側についた中国でした。そして「どこまで進軍するか」は「良い悪い」の問題ではなく、「戦いに勝つか負けるか」の問題ですから、これは侵略とかそういうものではありません。
おじいさんは私たちのためにビルマまで進軍し、おそらく灼熱の戦地でなくなったのですから、どう考えても日本の英霊です。」
(講演では言いませんでしたが、当時はビルマという国はイギリス領でしたから、日本が「ビルマに進軍した」というより「敵国イギリスと戦った」というのが正しいと思います。なにしろアジア諸国は占領されていたので表現が難しいのです)
日中戦争から大東亜戦争に至る歴史は、大きく歪曲されて伝えられている。白人支配を正当化するために作られた話に日本の知識人や朝日新聞がごまかされた結果だが、そんな「事実と違う」ことをもとにしていたら、いつまでも日本の中の争いがなくならない。
対立をなくしてお互いに意見を戦わせ、相手を尊重するためには、事実を正しく認識することだ。繰り返すと、
1)当時、世界は白人が有色人種を支配していた、
2)有色人種の人生は悲惨だった、
3)日本だけが戦争をして独立を守った、
4)戦争中にどこまで攻めるかは、戦略であって、侵略ではない、
5)日本の戦争に間違いはなかった。あったのは白人の方だった。
ただ、日本人の中(特に知識人)は「白人は日本人より優れた民族だから、白人がやることは許されるが、日本人が同じことをしてはいけない」という思想が根強い。これはコンプレックスだからなかなか理屈では退治できない。
また、戦後教育を受けている人の中にはこの知識人のコンプレックスをそのまま引き継いている(そのほうが自分に有利)人が多く、それも誤解のもとになっている。
ともかく、その若者は複雑な顔をしていたが、本当に理解してくれただろうか?
(平成26年1月14日)