正月がまじかになってきた。正月と言えばおせち料理。ゆっくりとした気分でおせち料理をつまみ、日本酒を飲むのはとても楽しい。そして、おせち料理を少し自分で作るのも良いが、この際、おせちを少し買って女性にのんびりしてもらいたいと思う。
もともと日本は女性に優しい社会で、平安時代まで節句ごとに作られたおせち料理では、女性がゆっくりしたものだ。だから日持ちの良いもので作られている。
一の重に盛られる「祝い肴(ざかな)」。お屠蘇とともに食べる。肴と言っても「魚」ではなくお酒のお供という意味だ。黒豆、栗きんとん、昆布巻き、伊達巻、田作り、かまぼこなどで、お酒が飲めない人には甘い料理もある。
二の重には「酢の物」や「焼き物」が並ぶ。なます、酢だこ、数の子、酢れんこん、なると巻き、ぶり・鮭の焼き物、たたきごぼう。「煮物」の筑前煮、野菜の煮しめなどの野菜もある。
もともとお重は3重だから二の重には酢の物が主体だったが、最近では家庭が少人数になったこともあって2重も多いようだ。
ところで、おせち料理は「子だくさん」、「長寿」、「豊作、大漁」、「お金持ち」、「働く」などがテーマで、「もったいない」や「リサイクル」などは考えていない。つまり「江戸時代までは日本人は「もったいない」という思想だった」などと知ったかぶりでいう人が多いが、そんなことはない。
やむを得ず節約をする必要があったし、ヨーロッパや中国より物欲が少なかったことは事実だが、やはり「おめでたい」というのは、人口が増え、老人が元気で、豊作でお金持ちになることであり、決して「小さく生きる」というのを良いとしていたわけではない。
1956年から1990年までの34年間、日本人は「おせち料理に込められた祈り」を実現しようと高度成長を目指した。その結果、GDPは8.8倍になって世界のトップクラスになり、本当に「おせち料理の願い」をかなえられるようになった。
だから、私たちは大いに人生を楽しんでよい。それは日本人の祖先が「こうありたい」と願った人生であった。家庭をもって子だくさん、楽しくマメマメしく働きお金持ちになり、豊作大漁が続き、工場は盛んに動いていて、最後はピンピンころりだ。それが私たちの祖先の夢だった。
それから見ると生活は楽になったかもしれないが、利権をむさぼる連中が「未来は暗い、未来は暗い」と言い続けたことがボディーブローのように効いて、日本社会は夢を持てないようになった。
(平成25年12月16日)