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主演女優のシャーリー・マックレーンが好きでこの映画を知り、もう20回は見ただろう。名画は10回や20回ぐらいでは飽きることはない。

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サスペンス映画の巨匠、アルフレッド・ヒッチコックの映画だが、映画の冒頭に美しい地方の紅葉の風景と素晴らしい音楽が流れる。音楽は音で人を魅惑するものだが、映画音楽というのは映画の筋道がその音の美しさをさらに倍増するように感じられる。

 

サスペンス映画だから殺人あり、緊張感と笑い、それにペーソスありで進んでいくけれど、圧巻はシャーリー・マックレーン演じる子持ちの寡婦の恋人で、若い画家の絵がある富豪に偶然に売れたときのシーンだ。

 

富豪が「いくら高くても良い。この絵が欲しい」という、画家はその場にいた恋人(マックレーン)に「何が欲しい」と聞く。ちょっと首を傾げたマックレーンは「イチゴが食べたい」と答える。

 

人間は100万の富より欲しいものがある。それはごく単純なものだ。決して高額であるから幸福になるわけでもなく、常識として価値の高いものが個人にとって素晴らしいものでもない。幸福は個人のものであり、それは多種多様であるとともに、社会が幸福を決めるものでもない。

 

30歳を過ぎた私が、社会で良しとされているものをそのまま喜ぶのではなく、自分の性質や人生にとって大切なものを、社会がどのように評価しようと自分とって大切と思うようになったのもこのような映画のおかげでもある。

 

また映画では全編にわたって感動をよぶものと、この映画のように私にとって他のシーンは単に添え物に過ぎず、あるシーンだけが強い印象を与える場合もある。この映画はその典型的なものだ。

 

(平成251118日)