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「エイリアン2」、「ゴジラ」、「ET」・・・すべてある意味で素晴らしい。エンターテイメント性と芸術性を兼ね備えている。でも私はやはり動きが少なく心にしみる映画が記憶に残っているように思う。

 

刑務所から精神病院に逃れてきた主人公マーフィーが、精神病院の中で孤軍奮闘し、ついに殺されてしまうという筋書き。主人公マーフィーにしろ、チーフと呼ばれるインディアンにしろ、白衣を着て厳しい管理をする婦長にしても、いずれもなかなかの布陣だが、この映画を見ると「精神病院の中が正常で、外が精神病」ということを感じることができる。

 

人間が「まとも」であるということを積み重ねると「異常」になるが、人間は一つ一つがまともだから、その結果としての社会もまともに見える。でも少し視点を引いて社会を見ると実に奇妙なことが多く、精神病棟より精神異常者が多い。

 

もともと幸福な人生を送ることができる小豆島の人が「時代の波」という人間が作ったいらないことのため、戦争や原発、で不幸のどん底に叩き込まれる(二十四の瞳)。 もともと幸福になろうとして努力したことが、結果として人生を不幸にするという部分的に正しいことの積み重ねが逆の結果になる(スタア誕生)。そして「まともなこと」の集積であるはずの社会が、精神病棟より病んでいる(カッコーの巣の上で)などはいずれもすでにお釈迦様やイエス・キリストが言っておられることでもあり、人間の本質でもある。

 

現代の社会でも声高に正義を語り、他人をバッシングし、正当性を主張するほど怪しくなる。自戒も含めて映画は私たちの人生を豊かにしてくれる。

 

(平成251117日)