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高野山と言えば弘法大師の開いた日本でももっとも格の高い山(寺院、大学などを含んだ地域。「高野山」という山はなく、全体を高野山と呼ぶ。中心は金剛峯寺)の一つで、そこで全日本仏教徒会議が行われた。
仏教は真言宗、浄土宗などの宗派に別れているが、敵対している訳ではなく、それぞれの宗祖や修行などのしきたりは違うけれど、仏様の教えをもとに宗教活動をしている。そしてこのような全体会議や日常的な活動を協力している。
まずは、日本の仏教界が活発に活動していることを知ってもらいたい。私は普通の日本人で、仏教徒と言われればそうかもしれないし、無宗教と言われればそうかもしれないといういい加減なことで、仏様に手を合わせたり、神様に柏手を打ったりしている。
先日、高野山で基調講演をする栄誉を得て、自然との共生について科学の立場からお話をした。並みいる高僧のまえでの講演は緊張感も高く、私としても実り多いものだった。私の講演論旨は次の通り。
1) 日本人はよく働き、優秀で、国も繁栄している、
2) しかし幸福ではない。自殺者は先進国トップで離婚も多い、
3) それ以外にも原発の被曝問題、核廃棄物問題など、日本人の誠意が見られないことが続いている、
4) 心が病んでいるとしか思えない、
5) これは「心の活動に割く時間」があまりにも少ないことに原因している、
6) 科学はまだ何も判っていない、
7) 科学は30年ぐらいは尊重してもらえるが、すぐ古くなる(ヘルムホルツ)、
8) その点、宗教や文学で示された真実は1000年以上も耐えられる、
9) 精神的なことがボロボロになった現代日本において宗教の果たす役割は大きい。
このような基本的な考えに基づき、環境、エネルギー、原発問題を具体的に述べ、「宗教は科学の結果に左右されることなく、現代日本における根源的な心の問題について深く関与し、活動して欲しい」と言う希望を述べた。
人間は精神活動がその大半を占める生物であり、経済(お金)が人間の行動を左右する現代の状態はどんなに考えても奇妙であり、幸福をもたらさないと思われる。長くお金の力に負けてきた私たちが、お金に関係なく、真なる幸福感を得られるようになるためにするべき事は多い。
(平成25年10月26日)