今から40年ほど前に大がかりな社会意識の調査が行われました。「結婚前のセックスはOKか?」というもので、今では「できちゃった婚」がおおっぴらに言われるほど開放的になりましたが、当時はまだいわゆる婚前交渉などは、マル秘中のマル秘という時代でした。
1970年代、1980年代、1990年代と時代が進むと共に、次第に「結婚前のセックスぐらい良いじゃないか」というように日本社会が考えるようになります。たとえば、1983年の調査を見ると、25才ぐらいの人は80%がOK、それに対して55才の人はちょうど20%がOKで、80%が反対という状態でした。
若い人はOK、年取った人はダメというのは納得できることですが、25才と55才というとちょうど「親子」の年の差と似ています。子どもが80%OKなのに、親は80%がNOなのですから、なかなか意見が合いません。子どもが恋人と旅行に行くというと、親は「とんでもない!」と叱るということになります。
親子げんかになるのですが、ここでもう少しこの社会意識調査を調べてみましょう。
1973年に30才だった人は、婚前交渉について60%がOKでした。その10年後、1983年の調査ではその人は40才になっているのですが、やはり答えは変わらずに60%がOKです。そして驚くべき事に、1993年の調査では50才になっているのに、これも同じく60%がOKなのです。
つまり、時代が進んで、多くの人が婚前交渉OKになっているように見えますが、実際には個人個人は30才から50才まで、まったく意見は変わっていないのに、お年寄りが社会から消え、若い人が参加することによって社会全体が変わったように見えるということです。これをさらにくわしく見ると、人間は25歳の時に「その人が正しいと思う意見」が決まり、65歳までは変わらないということになります。
この二つの事実、
1)25才と55才の人は、意見が正反対、
2)人間は25才の時の考えをそのまま65才まで変えない、
ということをよく考える必要があると思うのです。
25歳と55歳というと年の差は30歳。普通の親子ぐらいの年の差です。そして、その人の意見は25歳の時に決まり、それ以後は、どんな生活や環境にいても基本的には考えが変わらないということです。
そうすると、二つのことがわかります。
1)親子は意見が違う、
2)親子は話し合っても意見が合うことはない、
ということです。
これは「頑固だ」とか、「お前はバカだ」とか言うことでもなく、「時代の変化によってその人が「正しい」と思うことが決まり、それは変わらない」ということを意味しています。
これが「親子げんか」の真なる原因になります。(第一回、終わり)
(平成25年9月20日)