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WBCは中日・井端様の活躍でプロ野球の醍醐味を味わった。国別対抗戦というのはいつも血湧き肉躍るが、やはり野球というスポーツが実に素晴らしいゲーム性を持っていることも証明された。

でも、これほど素晴らしいゲームをできる選手が多いのに、日本のプロ野球は「プロ」と呼べるものではない。つまり、プロの選手なのに「自分の給料を自分で稼ぐ」ということができないからだ。

10年ほど前、近鉄球団の身売り事件が起こったとき、「プロ野球は赤字なので、会社が買い取らなければならない」ということがハッキリした。その時、「なぜプロ野球はプロでは無いのか?」ということはあまり議論されず、近鉄の選手がオリックスと楽天にどのように移動するかなどの方に社会は興味を示した。

日本のプロ野球が「ゲームを見せてお金を頂く」というプロとして最低のこともできなかった原因は、1)巨人が存在すること、2)企業がプロ野球を宣伝に使うこと、3)球団が売り上げなどをほぼ丸取りすること、という3つの事が原因しているとされる。

特に3番目は、プロ野球の収益が、チケット販売、球場での物販、試合の放映権、商業化権、それに広告料だ。このうち、アメリカのプロ野球の経営が成功しているのは、チケットと球場物販のみを球団がやり、プロ野球全体についてはコミッショナーがビジネスを展開し、各球団に分配するという方式である。

日本では巨人、阪神、広島以外はすべて赤字である。「プロスポーツはゲームが命である」という大前提が崩れているからだ。かつて1時間を超える監督の抗議などがあったが、いくらなんでも電車で帰らなければならず、明日は朝早く出勤する多くの観客にとっては「冗談では無い」ということになるだろう。

つまり、日本のプロ野球をプロ野球にするためには、1)ゲーム自体をおもしろくエキサイトするものにすること、2)プロ野球全体で繁栄するシステムを作ること、3)日本人が環境問題などを忘れてプロ野球などのように面白いものに興味を持ち人生をエンジョイする、以外に方法はない。

またアメリカでは1球団、約200億円の収入の内、その60%を選手獲得に使っている。つまり120億円の契約金があるので、魅力的な選手を取ることができる。これに対して日本ではまだ「どのように魅力的なゲームにするか」というお客さんからの目では無く、どうしたら自分の会社に有利になるかという短期的視野が横行しているからでもある。

つまり、「日本ではまだプロ野球経営者がいばっている」ということだ。プロ野球の改善には経営陣と選手の奮起を望みたいが、ここでは「日本人がもっと人生をエンジョイする」ことを思い出そうと思う。

日本人とフランス人はほぼ同じ所得なのに、日本人の休暇はフランス人の4分の1、旅行は10分の1だ。「環境」、「節約」などすべては利権だったが、それに踊らされた国民は、何のためにフランス人並の所得になるために頑張ったのか、われを忘れてしまっている。

野球などのスポーツ、ピアノなどの音楽、歌舞伎などの舞台・・・素晴らしいものがいくらでもあるのに、ただ夕方から一杯引っかけるだけの日本人になりかけているように思う。「昼休みの電気を消す」、「廊下の電気を消す」、「冷房の温度を上げる」、「分別する」、「割り箸を忌避する」、「トキを保護する」・・・などすべては環境を破壊するのに・・・

(平成25320日)