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大阪の高校生の自殺については、その背景が非常に難しいので、直感的に結論を出すことは「危険」です。なぜ危険かというと私たちは個別の先生を懲罰するだけではなく、このような悲劇が起こらないように「罰したら終わり」ではなく、「罰することと改善すること」を分けなければならないからです。
それには「すべての事実を慎重に見て、考える」必要があります。これまで体罰考では7回に渡って基礎的な考え方の整理をしてきました。今回は「すべての事実を見る」事とします。個別のものについての評価は音声で入れました。
A) 体罰は昔から見ると減ったけれど、今でも学校で行われている(事実)、
特にスポーツ部などでの体罰が定期的に問題になる(事実)、
できれば教育に体罰がない方が良いという事は一般の人の間では一致している(おそらく事実、以下同じ)、
B) スポーツ部の指導者の中には「体罰は必要だ」あるいは「仕方が無い」と考えている先生も多い、
スポーツ部に通わせている親も「仕方が無い」と思っている場合がある、
スポーツ部で運動をしている子どもは「体罰は良いのか悪いのか良くわからない」という感じである、
C) 高校のスポーツの成績が良いと大学に入りやすい、
社会はスポーツ選手を尊敬し、大切にしている、
オリンピックにでるような一流選手は早熟で頭も良い場合が多く、体罰を要さないことが多い、
一般のスポーツ部の選手でまだ人格の形成が途中で、小さな事であきらめてしまう子どもも多い、
D) 今回の事件のOBの感想「生徒思いのいい先生です。あかんことはあかん、いいことはいいとハッキリ言うタイプ。授業も楽しかったし、周りからも厳しくて良い先生と思われていた」
今回の事件の近所の人の評判(70代女性)「最初見たときは体が大きくて、機動隊員か何かをしているのかと思いました。奥さんと小学生か中学生くらいの息子さん2人との4人暮らしで、お子さんは今時珍しいくらいしつけが行き届いています。道路で人とすれ違うときはサッと道を譲ってくれて、近所の人には深く腰を曲げてあいさつしていましたね」
E) スポーツを指導している先生は「もう一つ頑張れば良い成績を上げられる」という時に「子どもにあきらめさせるか、頑張らせるか」の判断基準と、頑張らせる方法を知らない、
心理学的、教育学的などの学問的支援が不足し、社会からの圧力などに晒される先生が多い。
日本社会は3万人の自殺者がいるが、責任を問われた人はいない。
個人が自由な選択ができる状態での自殺は「任意の自殺」と見なしている、
これ以外にも考慮に入れなければいけない事実や、事実と思われることが多い。過去の清算(事件をおこした教師の懲罰)とこれからの教育は別にしなければならない。
まだ私自身も結論が出ないが、おそらく先生に指導のすべてを考えていただくのでは無く、教育界が心理学、発達心理、教育学、社会学、生物学などの面から、教育方法の研究と提案、説明などが必要だと考えられる。
(平成25年1月20日)