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先回、一言で体罰といってもその内容は様々であることに触れました. 多くの人は以下に列挙した体罰の内、体罰と感じるのはどの辺でしょうか? なお、学校教育法第11条の体罰規定には体罰の具体的なことは記載されていません。文科省の指導がありますが、教員の検討がない役人側の一方的なものなので、このシリーズでは取り上げないことにしています。

1)自分が実験した時にこぼした薬品を本人に綺麗にさせる(顧問弁護士は体罰と認定した)、
2)給食当番が忘れものをしたので、配膳室まで取りに行かせる、
3)生徒に黒板に書かせた文字を生徒に消させる(先生が消すのでは無く)、
4)重要な忘れ物をした生徒に家まで取りに行かせる、
5)授業に遅れた学生を10分間だけ立たせておく、
6)授業中に頻繁に携帯電話をかけに立つ学生の背中を押して出て行かせる、
7)授業中に4人ぐらいで大声で私語をし注意しても止めないので、襟首をもって廊下に出す、
8)がんばれよ!と言って肩を叩く、
9)隣の生徒の答案を盗み見ている生徒の頭を持って見ないようにさせる、
10)ダラダラ練習している生徒に気合いを入れるためにグラウンドを3周させる、
11)キャプテンとしての自覚を持たせようと平手で数回、頬を叩く、
12)4月から7月までまったく大学に来ない学生を、先生が卒論を合格できないと心配して夏休みに大学に出させる(これは先生が訴えられた例がある)

それぞれの人が違う考えを持っています.つまり、かつて教育は必ず体罰を伴うものでしたが、いつの日からか良くわからないし、「体罰がいけない」と言い出したのは日教組かも知れませんが、現在では「体罰はダメ」という事になっています.

それでは、教育現場で具体的に起こる問題について、かつては体罰で解決していたものの代わりは何かという議論は進んでいません.

1)口でいくら注意しても大声で私語をするグループがいて、授業が続けられないときにどうするか?
2)実験の後片付けをしない生徒を放置しておくと、ブロークン・ウィンドウズ現象で実験ができなくなるけれど、それをどうするか?
3)チームプレーのスポーツで、ダラダラ練習する生徒がいて、多くの生徒が不満を持っている時に生徒を強制的に止めさせるか?
4)生徒や学生が苦痛に感じるほど、繰り返し口で説得する時に、どこまでが「口の暴力」か?

この社会に「警察」などの「力による強制力」が必要なように、教育現場にも「力」でなければ解決がしないものがあります。そのことを良く議論しないで、単に「体罰はダメ」と言っていると、本当の体罰(負傷するまで殴るなど)を止めることはできないと思います.

「無理を通せば道理引っ込む」と言うことでしょう。私は「フランス流」、つまり、「どの体罰はいけない」と具体的に社会が決めるのでは無く、体罰の意味、教育の意味、先生の待遇、先生に考えてもらうということを通じて、学校の中から改善していくことの方が大切と思います.

(平成25112日)