もし節約が必要なら、未来に影響のないものから始めなければなりません。それは贅沢品や住宅を小さくするなどです。もっともしてはいけないのが「省エネ」や「節電」です。(同じ事をするのにエネルギーが少なくてすむ「省エネ」は技術としてはよいのですが、活動を制限する省エネは子供に悪い影響を与えます。)
学校で電力会社が教育にきて、省エネルギーの授業をしているそうです。この場合の省エネとは「石油はあと42年しかないから節電しろ」ということで、それを子供達に教えているということです。子供達は早速、家庭に帰って「活動量を減らさなければ」という意味のことを言っているらしいのです。
子供に教えることなので、当然ですが、真実でなければなりません。紙のリサイクルや地球温暖化の時のことを思い出します。でも、これには2つの問題点があります。
まず、第一に日本人の真面目さでどうしても「みんなが知っている数字」を使うということです。この性癖はまさに「病気」と言っても良いほどで、「ハッキリと間違っていると分かっていることでも、みんなが知っている数字を使いたい」という配慮型なのです。いわば日本人が大切と思っているのは「事実」より「空気」と言うことを示しています。
石油の寿命は今から40年前にも40年、40年たった後でも40年と言われ、40年というのは実際の寿命でないことは常識的にも明らかです。
グローバル時代と言われるのに、諸外国の状態と隔絶していてもあまり気にならないのも特徴的です。たとえば、アメリカでは100年後のエネルギー政策が石油などの化石燃料に依存しているという事実もあるのに、40年と言い続けます。
また石油会社はメジャーと呼ばれるほどの巨大な会社で、あと40年しか石油が持たなければ「代替エネルギー」の投資するはずなのに、石油、天然ガスに主力をおいています。このことが何よりも「石油、天然ガスは当面は枯渇しない」という証拠です。
エネルギーや電力の話になると、ドイツが登場してきて、アメリカやメジャーの戦略がまったく語られないのはなぜか、これも考えなければなりません。
では、なぜ40年という話になるのでしょうか? それは石油会社が油の相場を下げたくないこと、官僚が代替エネルギーで利権を得ようとして、その利害が一致しているからです。でも日本以外の国は、このような幼稚な判断では国民は動きません。
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第二の理由は日本の電力会社が「電気を少なく売っても利益は同じ」、「電気を高く売っても利益は同じ」という特殊な収益体質になっているからです。これは独占によるものです。
石油や石炭が必要なのは、電力だけではありません。鉄鋼、自動車、テレビ、液晶、太陽電池、シャンプーからトイレット・ペーパーに至るまで、エネルギーは必要です。1972年の第一次石油ショックの時に「石油がなくなる」と言ったら真っ先にスーパーから消えたのがトイレット・ペーパーだったことを思い出せば、よく分かります。
自動車の販売店に行くと「良い車がありますから」と買うことを進めますし、家電量販店に行くと所狭しと新型テレビがならんでいます。大量のエネルギーを必要とするという点では、電気も自動車もテレビも同じです。
でも、日本人の場合、誰も「エネルギーが無くなるから、自動車やテレビを買わないようにしましょう」と言いません。これほど奇妙なのに、電気だけがエネルギーに関係しているように「節電」と言って、多くの日本人が満足しているのですから、「NHKの洗脳」というのがいかに恐ろしいかがわかります。
電気も工業製品といって問題はありませんが、住宅、ビル、道路、自動車、鉄鋼、繊維、ガラス、テレビ、パソコン、冷蔵庫から日用雑貨に至るまで、エネルギーをふんだんに使うものです。なぜ同じ工業製品なのに、電気だけが節電だけが叫ばれるのか、その後ろに何があるのか、無批判に子供に節電や省エネを教える事を止めなければなりません。
8年ほど前、日本経済新聞に大きく「環境教育」という記事が書かれ、その中で「小学生に、温暖化し、南極の氷が融け、海水面が上がって、ツバルが沈んでいるという映像を見せたら、児童が青ざめていた。環境教育の重要性が実証された」という記事をおもいだします。
将来を担う子供達に、ウソを4つも映像で示して青ざめさせ、大人が利権をあさるのですから、本当に日本人の「子供を大切にする社会」はどこに行ったのでしょうか?
(平成24年9月3日)