三井化学岩国大竹工場の爆発の時に、現場近くにウランを含んだ触媒(使用後と考えられる)があった問題で、ウランを入れた倉庫の損傷は外部だけにとどまっていることがわかりました。従って、爆発で飛散していないので、付近の方は安心してください。

しかし、この問題は二つの大きな課題があることを示しています。
第一には、住民が心配していること、心配するであろうことを自治体、会社、報道がより積極的に伝えることだろう。「自分の都合の悪いことは触れない」というより、社会との新しい信頼関係を作るには、関係者がより積極的に「ウランについては****なので心配ありません」と発表し、写真を公開するのが適当と思います。

今回、報道が不十分だったのは、「ウランの倉庫は損害を受けていないのだから、心配する方がおかしい。彼らはなんでも反対する」という古い概念で取り扱っているのではないかと思います。

新しい企業倫理(CSR)は「隠す」のではなく「何でも明らかにすることによって社会の信頼を受ける」と言うことです。報道もそのようにして欲しかったと思います。

第二の問題は、なぜ使い終わったウランを含む触媒が倉庫においてあるかと言うことです。日本が高度成長の時にウランをかなりの化学工場が触媒として使っていました。しかし放射性物質なのでできるだけ使いたくないということで触媒が改良されて、モリブデンなどの違う元素を使うようになったのです。

でも、ウランの触媒を引き取るところがありません。これは原発と同じで、日本社会は原発やウランを使うことをしても、その後始末をいやがったのです。それは関係者ばかりではなく、反対派も含めた日本人全体の責任でもあります。

三井化学自体は、ウランの触媒をどこかが引き取ってもらいたいと思っているでしょう。でも一企業ではどうにもならず、国がシッカリしなければこの問題は片づきません。

かつてウランは自由に化学薬品として使えたのですが、放射線によるガンの研究が進むとともに規制されてきたのです。いま、政府は「被曝ではガンになりにくい」と言っていますが、これまでの規制の思想は全く正反対だったのです。

いずれにしても安心してください。

(
平成24424)