(この記事はざっとした考え方を書いたもので、「健康に注意しなくても良い」ということではなく、現代の医学でわかっているのは一部だけであり、必ずしも全部がわかっていると思わないというように読んでください。)
20世紀のおわりにフィンランドで大規模な健康テストが行われました。40歳代の中堅の社会人を1200人選んで、600人は「健康注意組」、別の600人は「やりたい放題組」に編入して、健康注意組は普段から健康に注意してもらうとともに、血圧が上がったら降圧剤を貰い、体の脂肪が増えたら脂質をコントロールする薬を飲んで完璧を期したのです。
一方、やりたい放題組は、まさにやりたい放題.タバコを吸いたければタバコ、お酒が好きならお酒、睡眠時間? そんなの関係ないといった具合です.もちろん、健康診断などせず、自由奔放に生きて貰ったのです.そして15年後、その結果がどうなったのかフィンランド保健省が整理して発表しました.
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おっ! 驚くべき結果です。全体の死亡数は、やりがい放題組の方がずっと少なく、健康注意組は実に1.5倍。特に心臓疾患は「健康組」が2倍、怪我などでは実に10倍という結果が出たのです。
健康に注意してはいけません?! えっ! 健康に注意すると早死にする?! でも、それは厳然たる事実、実験事実なのです.この実験結果はとても有名なもので、フィンランドという国が何かを決めるときに慎重に、データで決めていくという彼らのすごさを感じます(小さな声:日本は利権で決まる).
ところで、驚くべき結果と書きましたが、別に驚くこともありません。人間が病気になるのは「病気を気にするから」で、病気を忘れると普通の体力の人は病原菌も発がん物質の攻撃も退治してしまいます.その意味では「楽しく生きる」というのが実に大切であることが判ります.
もう一つの原因は、現在の医学はまだ「修理の医学」であって、「デザインの医学」は未完成であることを示しています.自動車でも「修理」というのはあるところが壊れたので、そこを直すということです。一方、デザインというのは「自動車全体としてそれでよいか」ということですから、全体を見渡すことが求められます.
たとえば、コレステロールが増えますと血管系の病気になりますが、だからといってコレステロールを減らすと、ガンとうつ病がグンと増えます.全体としてみると、コレステロールは「自然の状態がよい」ということになります。つまり「下手な考え休みににたり」ということで、「健康のために」と考えるレベルにはないのだから、下手に考えるより、気ままにやった方が良いと思うのです.
だから被曝して良いと言いたいのではありません.医師の言うことを無視しろということでもありません.「普通にやると良い」ということです。つまりお釈迦様がお話になったとおり、「中庸」が良いのです.被曝はいけない、栄養のバランスを取る、好きなことをする、明るく過ごす、ゆっくりした気分になる、腹を立てない・・・そんなことは普通のことです。
でも、血圧降下剤、強制的な禁煙(受動喫煙は別です)、過度の節酒、過度の健康診断、具合が悪いとすぐ医師などが問題で、具合が悪くても、ゆっくり休み、2,3日様子を見て、自分の体の快復力を信じることをこの実験は教えています。
(平成23年12月9日)