原発事故で、私たちは子供たちに悪いことをしました。その原因の一つが「お金のためなら、ウソも良い」という現代日本の社会現象があると私は思っています。つまり乞食になってしまったのです。

 

たとえば、「年金問題」がその一つです。「ピンピンころり」が良いと言いますが、ピンピンころりとは0歳で生まれて100歳まで、クラスメートが一人も死なないで天寿を全うするのですから、人口ピラミッドは長方形です。

 

それに対して、人口ピラミッドが「ピラミッド型=三角形」でないと「老齢者が少なく、若者が多い」ということにならないので少子化対策をしています。でも、ピラミッド型になるためには、長寿の人が100歳なら50歳までに半分は死ぬということです。

 

「俺だけは死なない。でも若者が多い方が良い」という自分勝手な思いが政策になったものが「少子化対策と年金問題」なのです。なんと自分勝手でお金中心の考えなのでしょうか?

 

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「ゴミを減らすと環境が良くなる」という人がいます。現代の日本人の消費活動から計算すると、消費量を節約しても到底、日本の自然が片付けられる限度を超えていて、その約500倍と推定されます。

 

むしろ、環境(大気、水、食物、気温、廃棄物貯蔵所など)を良くするためには産業が収益を上げてゴミを片付けなければなりませんから、「ゴミは増えた方が環境が良くなる」というのが本当です。

 

ある国が成長する過程で「思春期」が訪れます。つまり物質の増加と環境対策がアンバランスになり、そこで公害がおこります。公害は物質量が問題では無く、「成長と環境のバランスが崩れる」ことによって起こります。

 

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私は「愛用品の五原則」を提言し、高等学校の国語の教科書にも収録されていますが、そこで私が言ったのは「幸福な人生には節約が必要である。お金を使うことは不幸になることだ」ということでした。つまり「節約」とか「もったいない」というのは、その人の人生を幸福にする一つのポイントであって、環境という科学の問題とはまったく無縁なのです。それをすり替えたところに私たちの苦悩があり、今回の原発事故の遠因が潜んでいます。

 

今、「節電」が言われ、あたかも「節電=正義」と思われていますが、これも個人の人生では大切なことですが、エネルギーの問題ではありません。エネルギー的には節電は無意味だからです。

 

「節電」を「エネルギー問題」にすり替えて、また心の問題を科学に及ぼして日本社会のひずみを大きくしているのです。私たち大人は十分な観測眼と思考力を発揮して、日本が世界に冠たる安定した、善良な国民が誠実な社会を作っている国にして、それを子孫に引き継ぎたいものです。

 

(平成23122日)