原発事故に隠れて、巨大災害だった東北大震災への関心が薄れつつありますが、今回の地震は地震国日本としても特別なものだったことは確かです。
日本人、特に東北の方は我慢強く、復興に向かっていることは日本人の一人として誇りに思います。
ところで、40年ほど前から「東海地震」の予測に全力を挙げてきた日本の地震学としてみれば、阪神淡路大震災で6500人、東北大震災で2万人という数字は、地震予知がまったくできないことを示している。
この結果について、これまで地震予知の中心にいた東大教授が「学問の無力さを痛感した」というコメントしていた。私はこのコメントを読んで、ビックリした。つまり、次のように整理できる。
1) 学問というのはもともとそれほど将来を正確に予想できるものではない。学者は学問が不確かなものであることを一番よく知っている。
2) 地震がいつ起こるかというのは、巨大なひずみ、偶然のキッカケから決まるもので、予測は不確実であることは最初からわかっていたはずである。
3) 地震予知の中心に東海地震を置くことによって、阪神淡路と東北の警戒が不足したのだから、地震学者の責任は重い。
4) 今後、東海地震と南海、東南海、または西日本の断層地震のどちらが大きな被害をもたらすかがわからなければ「地震予知」ということを一切、取り下げるべきであろう。
「予知ができる」と言って研究費を獲得した学者は自らその研究費を公開し、なにが問題だったのか、真摯に示して欲しい。今後も、国民の命がかかっているのだから(国民の命を的にして、研究を強化してきたのだから)。(音声付き)
(平成23年8月19日)