すこし世界に目を向けてみたいと思います。
福島原発事故が起こってから、私たちは自分の身の回りのことで必死だったのですが、これから、原発の中止、夏の電力不足などの問題に取り組むためには、日本だけのことでは視野が狭くなるからです。
今回はアメリカのエネルギーを考えてみたいと思います。
簡単に言うと、アメリカ人は一人あたり日本人の何倍ぐらいのエネルギーを使っているかというと、
1) ガソリンは3.3倍
2) 電気は 2.0倍
というところです。
拙著「偽善エネルギー」から円グラフを示しましたが、特にガソリンは世界の総消費量の半分以上、52.3%をアメリカ一ヶ国で使っていて、その他の国の消費量を全部合わせてもアメリカ一ヶ国に及ばないという特殊な状態にあります。
よく、「地球に優しく」とか、「温暖化防止」などに興味がある人が「アメリカがグリーンニューディール政策を始めたから日本もそれにならうべきだ」などと言われますが、もともと、アメリカという国は資源の消費や、CO2の排出量などからいえば、劣等生なのです。
日本は環境優等生ですから、優等生が劣等生に学ぶのも奇妙です。
また、電気もアメリカの電気設備は8億キロワット、それに対して日本を含むヨーロッパ諸国なども2億キロワットを下回る量で、これも大きくアメリカが贅沢な暮らしをしています。
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贅沢な暮らしが咎められるものなのか、それともアメリカ流に個人の自由を尊重すれば、エネルギーを消費するのも問題はないのかはなかなかむつかしい問題ですが、いずれにしても「節約」、「もったいない」などを連発している日本がアメリカをお手本にするというのは不思議なことです。
戦後、アメリカ文化の影響を受けた日本は、
1) なんでもお金の尺度を使う、
2) 個人が大切で権利を主張する、
3) 額に汗するより金融で儲ける、
などを学びました。これらが全て「悪い」ということはありませんが、日本人の生活はずいぶんアメリカの影響を受けた感じがします。
しかし、日本とアメリカは、人種や歴史、文化はもちろん、国土面積、GDP、産業構造なども大きく異なります。
今回の大震災と原発事故をキッカケにして、戦後、一貫して私たちの「見本」だったアメリカから少し離れて、
●アメリカがしているから正しい
という考え方から、
○アメリカは一つの参考、
ぐらいに後退させたらどうかと思います。
そして、特にエネルギーのことを考えるときには、「アメリカがこうしているから」とか「アメリカは将来、エネルギーを・・・」という話は横に置いておいた方が良いと思います。
(平成23年7月23日 午前10時 執筆)