政府と東電が工程表に示した「ステップ1」の主要部分が達成されたと発表し、マスコミを中心として関心を呼んでいます。

 

でも、私は4月、および5月に発表された工程表をまったく評価していません。まさに、今の政府と東電の体質を示したものです。

 

むしろ現在のような工程表があること事態が、福島原発事故の解決を遅らせています。

 

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もし、日本政府が「国民の命と健康を守ることを第一」とし、東電が「事故を起こしてご迷惑をおかけした方に最大限の努力をする」というのなら、工程表はまったく違うものになるからです。

 

【今の工程表】

 

福島原発の収束を最優先にしている。

 

【大切な工程】

 

被爆しつつある人を助け、福島の大地を元に戻すための工程表。

 

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すでに福島原発はその力を失い、再度、爆発する危険性は4月の初旬にはほとんど無くなっています。

 

そして、今、福島原発が放射性物質を出していると言っても、3月に出た量の100万分の1になっているのです。

 

このことを私は「すでに土の上に1万円があるのに、なぜ、新しく空から降ってくる1円が気になるのか?」と発言しています。つまり、多くの人はこの工程表にごまかされていると私は思います。

 

福島原発の中の汚いものは、すでに周囲にまき散らされ、それを回収するのが第一なのに、工程表はそれをやらない目くらましになっています。

 

「福島原発の工程表」は東電に関係があるだけで、国民には、ほとんど何の意味もないのです。

 

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ある化学工場が爆発して毒物が周囲に飛散したとします。その工場を運転している会社が真っ先にやることは、爆発した工場の後始末ではなく、飛散した毒物の回収です。

 

爆発した工場はいわば「内輪の問題」ですが、毒物を一刻も早く除かないと一般の人に危害が及ぶからです。

 

今回の場合、仮に東電が福島原発の収束だけしかできなければ、政府の助けを借りて人を雇い、福島やその周辺の土地の除染や、被爆した人の健康管理、在籍証明の発行などあらゆることをしなければなりません。

 

お母さんは毎日、食べる食材に神経をたてています。また福島に住んでいる人は家の中を除染しても、市内が汚れているので、繰り返し除染しなければなりません。

 

農業の人も、漁業の人も困り果てています。

 

すべて、「現在の工程表」とはまったく関係が無いのです(下の方にちょっと書いてありますが)。

 

問題は、国民を苦しめていることが、「いついつ、どのようにして解決するのか」が書かれた工程表こそが、私たちに関係する工程表です。

 

そこにごまかされないように、空虚な工程表に目を奪われないようにしたいものです。

 

(平成23720日 午後6時 執筆)