日本の放射線にかんする暫定基準は、先進国に対して甘い(数値が大きい)。
環境に関するさまざまな指標、たとえば空気中の亜硫酸ガス(二酸化硫黄)、食品中の農薬などは、先進国ほど厳しい値をとっている。
経済が発展していないと、人の命や健康よりはまず「生きる」ということが先決だからあまりに厳しい指標を定めると経済が発展しないからだ。
日本も1960年代のように経済発展の途中では、環境指標は甘く、その結果、四大公害事件をはじめとした多くの公害を起こした。
その反省もあって、最近では空気中の汚染物質も、食品中の農薬は添加物なども厳しい規制になり、多くの日本人は中国の食材を警戒した。
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ところが、それはまだ「定着」していなかったのだろう。放射線になると突然、態度を翻し、日本のものなら、
1) 先進国の中では飛び抜けて甘い基準を作り、
2) その基準を上回っても「少しなら安全」、
と言い出した。
農薬にしても、亜硫酸ガスにしても、少しだけ摂取したり、一日だけ悪い環境にいても、それで病気になるわけではない。
でも、そんなことは誰も言わなかった。基準値を超える食材は市場に出してはいけない・・・そんなことは常識であり、それを時々、違反する中国を私たちは厳しく糾弾したではないか。
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私は思うのだが、人間として良くないことに一つが、「自分の都合で、言うことが変わる」ということだ。
中国産なら少しでも基準値を超えていると大騒ぎをし、政府が「騒ぐな」というと放射線なら「基準値を超えているが健康には影響がない」と報道する。
日本人ももう少し誠実さを取り戻して、「自分の基準、自分の考え」を持たなければ実質的な先進国にはならないだろう。
(平成23年7月13日 午前9時 執筆)