5月8日、1号機の二重扉を開けるときに、ある程度の放射性物質が出ると予想され、それが不安を呼んでいました.
そこに、8日未明に福島原発の映像に白いモヤがかかり、なにかの放出物が出た心配され、不安がさらに加速したようです。
それに加えて3月から4月にかけてはNHKが原発の不安を煽っていたのに、急に報道を縮小したことも問題でした。
つまり、多くの国民は、これまでの報道を見ていて、
「NHKは、何も起こっていないときには微に入り細に入り、原発のことを放送するけれど、危険になったら報道を止めるだろう」
との確信を持っているからです。
これからも、NHKは「原発が危な区なると報道を控える」という態度で終始するでしょうから、NHKを見ることはむしろ危険になります.
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ところで、このブログで再々、書きましたように、今回の福島原発の状態を一言で言えば、
「地震による破壊直後から、全ては科学的に進んでいる」
ということで、さらに踏み込んで言いますと、
● 2006年の地震指針で決めたとおり、
● 電力会社が勝手に決めた想定外の場合に起こるとおり、
に事態が推移した」
といってもそれほど間違っていません.
つまり、今のところ、「ひどい状態」ですが、科学的に見て「意外なこと」は起こっていないのです.
また原子炉は不安定ですから、今後も、「燃料の崩壊、溶融」などが起こる可能性もありますが、よく言われる「メルトダウン」というような状態にはなりません。
かりに、燃料の崩壊が起こると、東電の収集作業としてはかなりの影響がありますが、私たちにとって「放射線が大量に漏れて、また避難しなければならない」という可能性は少ないと思います.
万が一のために準備をしておくことは必要でも、その可能性が低いことも合わせて理解しておいた方が良いでしょう.
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今回の1号機からの漏洩でも、漏洩量は「億ベクレル」の単位です.普段なら大変なことなのですが、すでに福島原発からは「京ベクレル」の単位の放射性物質が漏れていることと比較すると、「1億分の1以下」です.
福島原発から京ベクレルの放射性物質が漏れたことはとても大変なことですが、これからの漏洩量はそれから見ると少ないという皮肉なことになっているということを示しておきたいと思います.
このことは、
「すでに漏れたものが、身の回りに「1億倍」もあるので、それからの被曝」
の方が重要で、福島原発のことはそれほど私たちにとって重要では無くなったことを示しています.
(平成23年5月9日 午前8時 執筆)