連休明けの生活(8)で水からの被曝の計算をして、福島、関東の一部を除いて水道に含まれる放射性物質の量(正確に言うと濃度)がかなり減ってきていることを示しました。

大変、良いことです。

ただ、福島県などの一部のデータに少し疑問がありました。データというのは単に「水道局の発表値」だけを参考にしている訳ではありません。

科学的なことは「全てのデータがつじつまが合っている」ということが大切です.それは、一つ一つのデータは、人間がすることですから、間違いも、測定誤差も、計算間違いも、錯覚もあるので、そのほかの知見と合致していなければならないからです。

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水道水がなぜ汚染されるかというと、「水源に放射性物質が降下した」ということですが、もっとも汚染が酷かった3月下旬に1リットルあたり450ベクレル程度の観測値があります。

これに対して、現在の原発からの総排出量と風向きから、数ベクレルが観測されるはずなのですが、「検出されない」という報告になっています.

総放出量、風向き、水源の状態、それに水道局の報告値はすべてつじつまが合わなければならないので、今、少し調べています.

おそらくは福島県を含めて全ての水道は安全になったと考えられますが、もう2,3日、待ってください。すべてがつじつまが合ったところで、ブログに書きます.従って、ペットボトルの買いだめは必要ありません。

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さて、野菜、水と整理をしてきたところで、今回は「チリ」です。

「チリ」というのは「粒」で飛んできた放射性物質はさまざまな形をしているので、これを一括してチリと呼んでいます。

つまり、放射線を持った細かい粒です。

原発事故の時に人間は主として、次の被曝を受けます.

1)   原発からの直接の放射線(ほとんどない)、

2)   原発から飛んできたチリが身の回りの空気に浮いていたり、壁についたり、床に落ちたりして、チリからでる放射線を受ける(これがほとんどの外部放射線)、

3)   空気中のチリや地面から巻き上がってきたチリを呼吸で直接肺や胃に入れる(内部被曝の第1、今回のブログ)、

4)   水を飲むことによって水の中の放射性物質が胃に入る(内部被曝の第2、先回のブログ)、

5)   食物を取ることによって胃に入る(内部被曝の第3、先々回までのブログ)、

6)   このほか、衣服に付いたり、お風呂に入ったときに皮膚に付いたりする被曝もありますが、かなり少ないので、普通の状態の時には無視しても大丈夫、

などです。

今回は3)で、空気中のチリを体内に取り込んだ場合で、母乳などに放射性ヨウ素が出たのは、これが原因で、このブログで「マスクをしてください」と最初に呼びかけたのも、この被曝防止です。

まず基礎的なことですが、空気中のチリを吸って肺や胃に入っても、食物を食べて入っても、基本的には同じ被曝です.

従って、計算式は、

(空気中のベクレル(1立方メートルあたりのベクレル))

×(呼吸量=1日8立方メートル、年齢と性別、生活で違う.詳しくは表を下につけました。)

×365日

×0.00002(ベクレルとミリシーベルトの換算)

で計算できます.

たとえば、福島市では3月20日には230ベクレルもあったのですが、今では福島原発からの放射性物質の放出量が100分の1になったので、2ベクレル程度になっています.

つまり、

2×8×365×0.00002=0.12ミリシーベルト

となり、1年の限度の1ミリシーベルトの10分の1になり、注意を要する量であることが判ります.

また、3月20日にはこの100倍ですから、1年間で12ミリシーベルトの被曝をする環境にいたことになります。

ただ、この量は「1年間続けて」ですから、福島市は3月20日に、この365分の1、約0.03ミリシーベルトの体内被曝となります.

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ところで、私が「子供さんの被曝は地面に近いから注意」と言ったのは、この「チリによる体内被曝」という点でお子さんは厳しい環境にいるからです.

お子さんが運動をすると地面に近いので、地面に落ちているチリが舞い上がって、それを吸うので大人の数倍の被曝を受けます.しかも運動しているので、下の表のように呼吸量も多いのです.

郡山市が小学校の校庭を綺麗にしたのは素晴らしいことで、お子さんに取ってみれば「地面からの放射線」と「地面から土(チリ)が舞い上がって、それで体内被曝する」という二つのことが、5分の1になったのですから、たいしたものです。

なお、各地の空間のベクレルなどを今、調べていますので、数日後に場所毎の被曝量を出そうと思っています.今回は原理原則だけです.

(生活と呼吸量)

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(平成2354日 午前11時 執筆)