子供の頃にどのような教育をしたら、その子供が将来幸福な人生を送るのかということは子供を育てる両親にとって関心の強いことです。

そこで、心理学や教育学の分野でも「子供の頃にどのように育てたら大人になってどうなるか」という研究が多く行われています。

具体的な研究成果としては、歴史のあるヨーロッパやアメリカのものが多いのですが、最近では日本でもかなり研究が進んできました。

・・・・・・・・・(第一話)・・・・・・

ます有名な話ですが、子供の頃、「欲しいものをすぐ与える」ことをしていると、その子供は大人なって傍若無人になったり、人とコミュニケーションが取れなくなったりすると言われます。

・・・最初は身近なものを欲しがる

・・・そのうち、おもちゃを買ってくれという

・・・それを全て与えていると、ついに、「あの星をとってくれ」と駄々をこねるようになる・・・

子供が「わがまま」になったのではありません。今まで「お菓子を食べたい」と言えばお菓子がでてくるし、「おもちゃが欲しい」と言えば、おもちゃを買ってくれたので、なんでもできると錯覚しているだけだからです。

子供にしてみれば、「なぜ月をとってくれないの? 親は自分を愛してくれなくなった!」と悩み、性格がねじれてくるのです。

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このような子供が大人になると、現実とは離れたとんでもなこと目標を立て、それで家族が破滅したり、関係する人を窮地に追い込んだりするようになると言われています.当然、結婚生活は破綻します.

ただ、このような場合でも偶然に成功する場合もあります。例えばとんでもない目標を立てて、それが実現する場合もあります。

1万分の1ぐらいの確率ですから幸福になる人はほとんどおられませんが、それでも大きな業績を上げることもあります。

・・・・・・・・・(第二話)・・・・・・

小学校のころ、先生に言われて「尊敬する人」を書かせられた経験があります。

私は若い頃、やや反抗的だったので、「尊敬する人なんか書いて、なにになるのだろう?」と思っていた時期もあります。実際に尊敬する人がいないのに、そんなものを書かせて!と不満に感じたものです。

しかし、心理学や教育学の勉強しますと「尊敬する人の名前を書かせる」ということは大切なことのように思えるようになりました。

実は、子供の頃から「尊敬する人」というのを1回も書いていない子供は、大きくなって「自分はの上には誰もいない」と錯覚する場合があるようです。

つまり、自分がこの世で一番、偉いのではないかと思い、他人に対して傲慢な態度をとったり、人を見下したりしがちだと言われています.その傾向が強くなると、たとえばナルシストになって、ある種の幻想を抱くという場合もあります。

この場合も、もちろん結婚生活は破綻することが多いとされています。

小学校の頃、「尊敬する人を挙げなさい」と言われて、無理矢理、聖徳太子、ソクラテスとかお父さんとかを書くのはそれなりに意味があるのです。

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ここでは、子供の頃の生活が大人なった時にどのような影響を与えるかについて二つの話題を取上げました。

子供の頃の教育というのは、後になって取り返しのつくものではありません。それを両親が自分の思い込みで判断して子供を育てると、思わぬ結果になるという危険性があることを示しています

最近では、例えば「環境が大切だ」というとすぐ子供に環境教育をしたり、「自由な心を持つ人間が良い」と言って、過度に子供に自由を与えるという例も見られますが、この二つの例でわかりますように教育とは相当多く奥が深いもので、人間の成長や人間の奥に潜む性質などをよくよく知り、それに基づいて慎重に考えてやらなければいけないのです。

かつて小学校や中学校に権威があり、先生方が尊敬されていた時代にはこのような弊害が少なかったのですが、最近では“モンスターペアレント”が登場するなど「素人」が安易に教育に口をだすことも頻繁になりました。

多くの人が教育に関心を持つことは良いことなのですが、「自分には知識と経験があるか?」と問い直すのも子供の将来には大切なことと思います.

(平成23221日 執筆)