特別な国:日本というと、まず思い浮かぶのが食料の問題です。
食料には肉やバターのようなものと、お米とパンなどの穀物の二つにわかれます。
人間が生きる上では,お米やパンもそして肉やバター、野菜等も大切ですが,いざとなったときに生き残るという意味ではやはり穀物が大切であると考えられています。
そのために世界各国では食料自給率はともかくとして、穀物自給率を100%以上にしておく政策をとります。なにかのことで外国から穀物が入らなくなっても少なくともその国の中でパンやお米だけは確保できるということです。
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まず、アメリカ、オーストラリア、フランス等の農業国は穀物の自給率が100%から200%です
またドイツイギリス等の先進国ではあまり農業が得意でなくても,何とかして穀物の生産だけは維持して自給率を100%前後にしておくという政策がとられます。
一方、中国やインドと言った巨大な国では,仮に穀物自給率が100%を切ると,いざという時に助けてくれる国が世界中に存在しないという困ったことがおこります.
つまり、中国の人口が15億人として穀物自給率が90%だとしますとわずか10%だけ足りなくても1億5000万人分の食料を輸入することになるからです。
このぐらいになるとさすがの農業国アメリカでも穀物を供給することができません。
そこで,発展途上国の中国やインドは穀物自給率をほぼ100%にしています。
まとめると,先進国のようなお金を持っている国、中国やインドといった人口が1億人以上の国は100%以上の穀物自給率であるということが判ります。
それに対して驚くべきことに世界で日本だけが先進国であって1億人以上の人口持つにもかかわらず,穀物自給率が実に25%以下という驚くべき数字なのです。
さらにもうひとつ危ないことがあります。
日本の農業は戦後,エンジンのついた農機具を使い、石油から作る肥料や農薬を使って生産量を増やしてきました。
石油に依存する農業によって,反収つまり,一つの畑あたり穀物が取れる量は3倍から5倍になっています。
仮に、日本のエネルギーが100%海外に依存してるということよく知られておりますが,世界に戦争が起こりエネルギーも食料も日本に入ってこないとします。
この場合は穀物自給率は25%ではなく,それのさらに3分の1から5分の1つまり,日本の本当の穀物自給率は5%から10%であるという驚くべきことに気が付きます。
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関税をゼロにすることなどの目的でTPPという新しい国際的な枠組みが議論されていて、「国際化した時代だから、エネルギーや食糧が外国から入らないなどということはありえない」と暢気に構えている人がいるのですが、私はそれほど世界は安定している訳ではないと思っています。
日本は温帯の島国で、のんびりと平和な生活をしてきたこともあって、あまりにノーテンキではないかと思います.
(平成23年2月6日 執筆)