アメリカは西に進む。

厳密に言うと、アメリカに住んでいたインディアンは西から来たので、西にもどることは無かったが、東からきた白人は西に進む。

最初は、ボストン、ニューヨークなどの「東海岸」だった。

それが「西部」に進み,メキシコと戦い、そして「西海岸」に到達した。その途中で、アメリカインディアンを600万人も殺害した。

そしてバイソン6000万頭、プレーリードッグ2億匹殺害。

そして、金を求めてサンフランシスコに達し,あれほど広い太平洋を見てもアメリカの「西進」は止まらなかった。

20世紀の初めまでには、北はアラスカ、中緯度ではハワイ、そして南はフィリッピンを領有した。

それから50年、本当は中国がターゲットだったが、その代わりに日本を襲って太平洋戦争を起こし、さらに朝鮮半島(朝鮮動乱)、ベトナム(ベトナム戦争)へと進む。

ここまでが1970年である。

日本人の中で太平洋戦争は日本が始めたと考えている人がいるが、私はアメリカの「西進」の力を防ごうとした結果と考えている。「なぜ、日本は戦争を始めたのか?」という問いになかなか答えられないのは、ここに原因がある。

アメリカはさらに西に進む。アメリカ人の体の中に止めることができないほどの激情が走るようだ。

「西に向かって進め!そして西の野蛮人にアメリカの正義を伝えよ!これは神の宣託だ!」と。

2000年になって、ターゲットはアフガニスタン、イラクまで進んだ。地球一周に近づいて来た。

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アメリカは「西進」するときには、何らかの「ウソ」を構えるか、相手を誘って問題を起こし、それに対する報復として攻撃をする。

日本の時には真珠湾攻撃,アフガニスタンでは9.11である。ベトナム戦争ではトンキン湾事件というウソを構えた。

このような「西進」に対して「熱情」をもつアメリカは「自分たちが考えることは普遍的であり、正しい」ということを確立してから進撃を開始する。

それがハーバード大学の講義で見られた、「ギリシャ風講義室」で「権威の在りそうな教授」が、「アメリカの正義」を確定するというプロセスである。

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人間はどこまでなら「言っていること」と「やっていること」が違っても良いのだろうか?

「多様な価値観を認める」とサンデル教授は言いつつ、そのそばで軍隊はアフガニスタンに突撃する。

「温暖化が大変だ」と言って、アメリカや東京に住む。

「節電しなさい」と言って,自分の家の電気代は月30万円(ゴア)。

「人のものを盗んではいけない」と言って泥棒をする。

サンデル教授の講義は納得性があるが、詐術である。詐術には、「ギリシャ風講義室、エリート学生、格好のよい教授」が必要で、それを「白人崇拝」が応援する。

東洋は他国の価値観を尊重する。動物に対しても輪廻思想をもつ。そのような一段も二段も優れた東洋文明が、西洋文明の詐術にかかるのは残念だ。

なぜアメリカは東に進まずに西に進むのだろうか? 東は祖父の国であり、西は野蛮だからだ。そしてそれは「熱情」によって支えられ、「ギリシャ風論理」によって守られている。

(平成22623日 執筆)