鳩山首相の半年はその前の福田、麻生の両政権に加えて、日本は3年の無駄をした。
でも、とりあえず「まともな政治」ができるようになった。事務所問題などがあるが、あまり細かいことに注力しないで、できるだけ早く「未解決の大きな問題」に国民の議論が向かうことを期待している。
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その一つが「国際化と金融」の問題である。この問題は、1990年の激動(1989年からのイラン革命、天安門事件,東ヨーロッパ崩壊,ベルリンの壁、日本のバブル崩壊)のあと、「国境無き金融」を「日本として」どのように考えていくかが宿題に残されている。
2008年9月のリーマンショックはその一つの現れであり、今度のユーロ危機はその第二弾だ。
そこで議論しなければならないのは、
1. 国境無き時代の金融(世界の金融をどうしようという前向きの議論ではなく、流動性の高い金融情勢で日本の社会をどのように守っていくかの具体策)
2. 国が違って通貨が同じというユーロにどのような問題があるか?という議論(ユーロ問題の本質)
3. ギリシャという「EU国内」の一部が、ドイツというこれもEU国内の一部にお金を借りたという状態は、日本のある県が東京からお金を借りたこととどのように違うのか?(回復までの時間の予想に大切)
4. ギリシャにお金を貸したドイツは、お金があるから貸したので、EUとしては長期的になにも起こっていないが、応急処置は必要(世界の処置ではなく、日本の対策)
ということだ。
これらのことは、すでに20年間の眠りについている。1990年代の「失われた10年」でも、2000年からの「2度目の失われた10年」でも議論されずに、まだ右往左往している。
国と通貨は切っても切れない関係にあり、国は自国通貨を守りながら政策を切っていく。
ところがユーロという共通通貨と各国の政策は独立であることで歪みである。また国によって発展のステージが違うので、どうしてもドイツやフランスのユーロが、ギリシャやハンガリーなどに流れる。
経済活動より多いお金が流れてくれば、それでバブルが起こり,その「国」の経済は破綻する。それが今回のユーロの危機である。
つまり、今回のことは本質的に予想されたことがそのまま起こったことでもあり、また数年前からドイツ,フランスからギリシャなどにお金が流れ、スペインなどではそれによる住宅バブルが起こっていたことも知られていた。
ところが、問題は必要なことが必要な時期に「報道されない」ということにある。
その一つの原因は、アメリカのサブプライム問題が2006年から起こり,2008年の3月にはアメリカの住宅公社が破綻し始めていたのに,まだNHKが「洞爺湖サミットの最大のテーマは地球温暖化」などと国民の目を重要なことからそらそうとしていたことだ。
世界の首脳が集まるサミット(7月)からわずか2ヶ月後に「100年に一度の危機」と言われるリーマンショックの破綻が起こった。
スポーツはそれ自体で素晴らしいので、政治や経済と一緒にしなくてもよいが、サッカーのワールドカップと同じぐらいにはユーロ問題を取り上げる方が良いだろう。
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ここでハッキリしたいことは、1990年から積み残した多くの問題がそのままになっていて、小さな霧ばかりを議論しているということだ。
普天間の問題も、日本の再軍備とアメリカ、それに東アジア情勢に関する議論を深めないと、見通しもなく「県外」などと言っていたらどうにもならない。
解決を遅らせるだけだから、結果的に沖縄の苦労は減らない。つまり「国外、県外」ということ自体が、沖縄の解決を遅らせているのだ。
熱くなるのも大切だが、冷静な議論無くして勝負には勝てない。
みずから泥沼を求めず,「霧はすっかり晴れた」と仮定して、本質的な議論だけに集中することと思う。
(平成22年6月12日 執筆)