メタボと言い,禁煙と言い、次々と「長生きするための方法」がなかば強制され、テレビでは毎日のように「どうしたら長生きできるか」というアドバイスを専門家が言い続けている。
まるで自分なのに自分の命とは思えないほどだ。
その成果でもないと思うけれど(栄養が豊かになり生活が楽になったことが原因だろう)、平均寿命はさらに伸びようとしている。
でも、人間はただ「生きている」だけで満足するものではない。食べて寝て、食べて寝るだけの生活は退屈でしょうがない。
そうなると、60歳で定年になった後、仕事も家庭も、そして人生も楽しく過ごす方法を具体的に考えなければならないが、今の政府や専門家はただ断片的なことを言うだけでサッパリ参考にならない。
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まず、第一に、60歳から90歳までの40年間というと、20歳で就職をして60歳の定年までと同じ40年間だから、希望に燃えて就職した頃の気持ちをもう一度もって、「希望に満ちた老後」を送ろうとする気持ちが大切だろう。
そうはいっても第一線を引いた後は、経験もあるし、若い時ほど「人を押しのける」必要も無いので、「張り切って譲る」という技も使えるから気分は楽だ。
第二に、ボケないようにしたいものである。せっかく健康で時間があってもボケるとやりがいもないし、他人にも迷惑をかける。
ボケのもっとも大きな問題、アルツハイマーもかなり判ってきた。学問的にはアミロイドβとか、ドネペジルといった難しい名前を覚える必要があるが、それは専門家に任せておいて、私たちは予防だけをすればよい。
アルツハイマーの予防は、食事と生活スタイルだ。それもあまり辛くない。
食事は、魚(青い魚が良いが)、野菜、お茶、腹八分目だから、これは「日本の食事を慎ましく食べる」というので完璧だ。もちろん,たまには豪勢に焼き肉を食べても問題は無い。毎日の方が大切である。
もっとも、魚、お茶などが体によいのは当然かもしれない。すでに江戸時代に貝原益軒が勧めているぐらいだから。
それに運動,楽しい刺激のある生活だから、これも望むところだ。
東京都老人総合研究所のデータによると、運動(運動しない動物より52%も危険性が減る)、腹八分目(同66%)、楽しい生活(20%)、油っぽい物を食べない(50%)、お茶を飲む(47%)、青い魚を食べる(40%)ということだ。
すごい改善率だから、計算するのも恐ろしいが、毎日、楽しい生活を送り、適当な運動をし、食事は油っぽいものを避けて、青い魚,野菜を中心に腹八分目にして、お茶をよく飲む・・・という生活をすると、アルツハイマーになる可能性は、実に危険性は0.7%になる!!
つまり、このような生活をすると99.3%はアルツハイマーにならないというのだから、驚きだ。
データはあくまでも研究所のものだが、こんな計算をすると怒られるだろう。腹八分目にしたら66%改善し、楽しい生活をしたら20%改善するというが、それはあくまで「それだけの効果で,他のことは標準的な生活をした場合」だからである。
でも、データはデータだから、これを信じて、今日から、運動をして汗を流し,笑顔を絶やさず楽しい生活を送り、日本食を腹八分目にして、食後はお茶を飲んでいればアルツハイマーから解放される!とそう思った方が、精神的にも暗示をかけることができるから、それもそれでよいだろう。
お茶は「お酒」も含む。かつて江戸時代、ウサギを「一羽二羽」と数えることによって見かけ上、鳥のように扱って食べた故事に習う。
医学もドンドン進歩している。かつて「これが良い」ということでも、数年経つと180度変わることもあるが、それは人間の限界だから仕方がない。私の知っている人の多くが「肉が好きで90まで元気」という人は多いから、その点ではこの話もやや疑問符を付けてはいる。
それでも「人のお腹を計ってメタボの烙印を押し、ペナルティーをかける」などという小役人の考える暗い人生を送るよりまして,自分の体を自分のものとして、自己責任で楽しくいきたいものである。
「汗」をかいて、「和」食を食べ、食後は「笑」って、お「茶」をのむ・・・それで長い40年を楽しく過ごすことができるようだ。
そして、いつ病気になるか、いつ人生が終わるかは判らないが、どうなっても仕方がない。それが天命である。
(平成22年5月22日 執筆、音声有り)