人間は動物である。いや、そんなことは今更、言ってもらっても意味がない。人間が動物であることぐらい、知っている、と言われる。
でも、現代の日本ではどうみても動物としての自分の体というものをよく知っているとは思えない若者にであうことがある。
朝、ぼーっとしてベッドから起きてリモコンを探ってテレビのスイッチを入れる。そのままうとうとしながらなんとか間に合うようにギリギリに起きて、もうろうとしながらコンビニおにぎりをほおばってシャツに腕を通し、マンションの階段を下りる。
そんな生活をしていて、「元気がでない」、「ウツ気味だ」といっても、それは自分が好んでそうしているようなもので、「あなたは動物ですか?」と聞きたくなる。
なぜ樹木のような植物はジッとして動かないのに、動物は朝起きると寝るまでセッセセッセとエサを求めて動き回るのか?
それは、植物のご飯は空気中のCO2だからジッとしていても、ご飯を食べることができる。でも、太陽の光と空気中のわずかなCO2が頼りだから、植物は動き回るだけのエネルギーは採れない。だからジッとしていると体の調子が良いように出来ている。
それに対して動物は、動き回らないと調子が悪いようにできている。
睡眠時間と寿命の関係を見ると、7時間がもっとも長寿で、4時間ほどでも10時間でも、病気の危険性は2倍に増える。
睡眠時間が短いと体の中に老廃物がたまって健康に悪いのはだれでも判るが、睡眠時間が長すぎても悪いのはなぜだろうか?
答えは簡単だ。「人間は動物だから、動いた方が調子が良い」という一言に尽きる。
「疲れたときには体を動かすと直る」というのは本当である。もとより昔のように体を使いすぎて寿命が短かったときもあるが、現代の社会で体を使いすぎている人はほとんどいない。
「疲れたから休む」のではなく、「疲れたから動く」が本当である。
(平成22年5月8日 執筆。音声あり)