「あなたはクロウトか、シロウトか?」

と聞かれたら、

「私はアバウトだ」

とお答えになる。さすが、日下公人さんだ。ものの本質をとらえ、しかも日本語と英語がミックスして見事だ。経済学者で超一流になると言われることが違う。

実は、自然科学にもおなじような手法がある。それは「入り口と出口を完全に一致させておかなければならない」ということだ。

世間的にも「入ってきたお金と出ていくお金はイコールでなければならない。借金も含めて」ということと同じで、実にわかりやすい。

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私はプラスチック・リサイクルでこの手法を使った。

1)  プラスチックは年間1400万トンぐらい消費される。

2)  リサイクル率は60%と公表されている。

3)  プラスチックのリサイクル商品を調べると10万トンも行かない。

つまり、入り口は1400万トン、出口は1400トンの60%のリサイクル品だからおよそ840万トン(アバウトなら800万トン)あるはずだが、市場にはまったく見あたらない。

ところが、多くの人は「60%はリサイクルされている。NHKがそういっているから」ということになる。そして「ペットボトルは背広に使われている」と思う。

でも、市場にリサイクル製品がほとんど見あたらないことは事実なのだ。そうなると、1400万トンか60%のどちらかが間違っていなければならない。

ところが私のこの指摘に対して、「調査が不十分」とか、「関係のない数字をつなぎ合わせている」という批判が多かった。

批判は歓迎だから良いけれど、調査をするほど内容が不明確になるということは、とても多く、まず大きく構えて論理的に整合性があるかをいつも考えることは「自分の頭を動かす」というためにはとても大切なことだ。

また、質問が思い浮かばないと言う人も、この手法を身につけると疑問は多く出てくる。

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もうひとつが最近、ブログに書いた「成人病と死亡率」の関係だ。

1)  成人病が急激に増えている。

2)  成人病になると死亡率が増える。

3)  平均余命(50歳程度を基準)は急激に増えている。

という3つのことはやはり矛盾する。もちろん、詳細に詰めるとどこかに間違い、ウソ、トリック、錯覚などがあるのだが、とにかくつじつまは合わない。

まず、それからスタートする。そして細かい数字が判ったからと言って、この矛盾が解決するわけではない。どこかに誤りがあるのだ。

この場合は、「成人病の定義」、「死亡率の計算方法」などに問題があることは判ったが、それ以上は、今も調べている。内容が全部わかるまで10年ぐらいかかる。リサイクルも私が最初に出した本が2000年、おおよそ判ったのが2007年だった。

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アバウトに反撃してくる人に二つのタイプがある。一つは、その人自身はデータを持っていない場合、もう一つは利害関係がある場合である。

この社会は複雑だから、トコトン調べるのは時間がかかる。だから、まずは大きくとらえて疑問を持ち、それを徐々に解いていく・・・とても興味のあることだ。

(平成22429日 音声付き)

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