かつて「悪玉コレステロール」と言われ、コレステロールは何が何でも体には毒だと言われたものですが、最近では「善玉コレステロール」とか「コレステロールは体に大切なものだ」と言われるようになって、様変わりです。
それと同じことが「歯の手入れや治療」もずいぶん変わりました。
昔は歯ブラシにたっぷりと歯磨き粉を付け、音楽にあわせてゴシゴシやったものですすが、そのうち、「歯はゆっくりと一本一本、磨きなさい」とか「歯の表面は磨かなくても良いけれど、歯周ポケットのカスだけを取ればよい」と言われたりします。
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虫歯も歯周病も、そのきっかけは歯垢と言われる歯の表面に付く「細菌」です。
普通の常識では、細菌というのはアメーバのようにニョロニョロしていて柔らかいように思いますが、歯の表面につく細菌(歯垢)は結構、固く、それも時間が経つと増殖はするは、さらに固くなるわでやっかいなものです。
だから、歯を磨くというのは「歯の表面に付いた細菌を取る」ことで、それも強くついているので「こさぎ落とす」という感じです。
だから、歯を磨くのは「食物のカスを取る」というより「歯の表面に繁殖している細菌を落とす」というのを強く意識した方が良いようです。
食物のカスは歯茎の隙間などに着きますが、それ自体はあまり問題が無く、そこに細菌が繁殖するのが問題だということも今ではよくわかっています。
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ところで歯を磨く時間的なポイントが2つあります。
1つは、食後すぐはまだ唾液が出ているときなので、理論的には食後30分ぐらいは待ったほうが良いと言うことになります。つまり、食品の中でも虫歯に関係する細菌が繁殖するのはPHという酸性度が低い時ですが、唾液がそれを中和してくれます。
中和するのに30分ぐらいかかりますから、やや食後すぐより、少し経ってからの方が良いと私は思っています。
ところで昔も虫歯が無かったわけではないのですが、甘い物はPHを下げるので砂糖を取るようになって虫歯が増えたことも判っていますので、やはり唾液の力も借りた方が良いでしょう。
かつては虫歯が少なく、今は虫歯だらけというのは、甘いものを食べるようになったのが第一、そして柔らかい食物が増えたのも原因しているようです。
もう一つのタイミングは「24時間ぐらい経つと、歯の表面の細菌がはがれにくくなる」ということで、やはり歯磨きは1日に最低でも1回ということになります。
歯医者さんは毎食後と進めますが、なかなか毎食後は難しいのですが、最低でも1日に一回は歯を磨いた方がよいと言うのがわたしの感じです。
なにしろ虫歯というのはあらゆる病気の中でもっとも数の多い病気ですから。
(音声もあります)
(平成22年4月25日 執筆)