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「科学技術は進歩する」と多くの人が思っている。私がある時に高名な方と対談をしたときに、「未来はあかるい」と言ったら、「それは武田先生が科学者だからで、社会はそれほど変わらない」と言われた。

本当に社会は変化しないだろうか? 私は科学技術以上に社会は大きく変化しているように思う。

100年後の世界を考えるには、時代の変化が激しいので、200年前ぐらいとの比較が必要ということを前に書いたけれど、社会も今から100年後というと、200年前ぐらいからの変化と同じだろう。

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この写真は今から150年前の小田原付近のもので、わらぶき屋根、障子だけで外からの雨風を防ぎ、もちろん水道は無し、くみ取り便所、それに子供たちはほとんど裸同然でいた。

今と比べると社会も、生活も、そして子供たちもずいぶん、変わっているように私には思える。

それでも日本は明治政府の頑張りでアジア諸国では珍しく独立できたから、変化は少なかったが、アジア、アフリカ、南アメリカなどのほとんどの国は第二次世界大戦までヨーロッパやアメリカの植民地になっていた。

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それらの国は日本の進出がきっかけとなって多くの国が独立を果たし、今の姿になっている。現在では「平和は尊い」という声が大きいが、ちょっと前まで「独立のために武器を取れ」というのは正しい呼びかけだった。

社会、生活、戦争・・・なにからなにまで変わってきた。

もちろん、個人の人生も大きく変化した。たとえば平均寿命だが、90年前の日本人の平均寿命は43歳。30代になると人生も終わりに近づいたのだ。

人生が40歳と80歳ではまったく違う。これも大きく変化した一つだろう。平均寿命というのは幼児期になくなる人も入っているので、その時代にある程度の年齢まで生きた人は少し感覚は違う。平均寿命が40歳の頃、30歳まで生きた人は「人生、50年」と思うだろうし、現在で60歳まで命があった人は「人生90年」ということになるが、それにしても大きく変わってはきている。

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それ以外にも少し前までは女性は参政権もなく、年金はここ20年である。だから、「将来、少子化が問題だ」などというのは、前の科学の歴史で書いたように「今の社会がそのまま続けば」ということだ。

多くの人が「うらやましい」と言っている国、フィンランドは日本とほぼ同じ面積の国土を持ち、人口は22分の1である。

私たちはあまりに近視眼的にものを見ているのではないだろうか?

(平成22422日 執筆)