100年後の気温が3℃上がると言う。300年経つとエネルギーが枯渇すると言う。
でも、100年後、300年後というのはそれほど判るものだろうか? それに、時代は少しずつ早く変化しているように見える。今から100年後というと、200年前ぐらいに相当するかも知れないし、300年後というと600年前になるかも知れない。
コペルニクスが「天体の回転について」という本を出版して「地球が宇宙の中心ではない」と言ったのが約500年前、ニュートンが万有引力を発見したのが300年ほど前だ。
絵はニュートンが「太陽の光は七色だ」ということを明らかにした実験の図だけれど、300年前というとそんな状態だった。
そして、パスツールがこれも絵で示した「鶴首の実験」をしたのが今から140年ほど前で、その時に始めて「病気はどうやら悪霊でなるのではなく、病原菌らしい」と判ったのだ。
そして、その頃、ドイツの大科学者ヘルムホルツは「太陽ななぜ光っているのだろうか?」と悩んでいた。薪を焚いているわけでもないだろうし・・・なにしろ原子力がキュリー夫人によって発見される前のことである。
つまり、今から100年前というと、太陽がなぜ光っているかも判らないし、飛行機もライト兄弟が少しだけ飛ばしたところだ。今、私たちが使っているものはほとんど発明されていなかった。
それなのに、なぜ100年後がわかるのか?と私は訝る。
もし未来を予測するなら「今のまま100年、続いたら」ということを仮定しなければならないけれど、そんなことは今までにもないし、これからもないだろう。
今でも、新しい科学技術は次々と生まれているし、社会も大きく変わろうとしている。人間が確実に予想出来るのは、「明日は今日と違う。人間社会は少しずつ良くなっている」ということだけだ。
後で書いてみたいと思っているが、「成長の限界」を書いて、「環境や資源が無くなるから成長には限界がある」ということで世界にショックを与えたメドウス博士も、その前文で「このまま変化がなければ」と断っている。
(音声があります)
(平成22年4月22日 執筆)