2012年にこの世の終わりが来ると言います。今から2000年前にも「明日がこの世の終わり」と信じられていましたし、西暦1000年の時もそうでした。そして20世紀の終わりには多くの人が真面目に「ノストルダムスの予言」というのを信じて暗い気持ちになったものです。
人間というのは「将来は暗い」と思いがちです。
1920年には日本人の平均寿命は43歳で、今は80歳。でも将来は悪くなると心配になります。
今から1000年前、庶民は掘っ立て小屋か縦穴住宅に住み、冬は凍え、飢饉に怯え、短命で惨めな人生を送りました。電灯はない、冷蔵庫も無い、テレビの楽しみもない、トイレと言えば落ちそうなくみ取り便所・・・そんな生活はついこの前まで続いていたのです。
それを考えると、「社会はどんどん良くなっている」というのはハッキリしているのにそれでも「将来は真っ暗」と脅す人が多いのです。
「1000年前に帰っても、今の時代に生きても、どっちも選ぶことができるとしたら、どっち?」と聞くと、「今が良い」と言うでしょう。それなのに将来は暗いと思うのです。
・・・・・・・・・
これは「人間の脳の欠陥」によるものです。
人間の脳は「自分が正しいと思うことが正しい」と考える癖があります。でも、将来はかならず今とは違いますから、自分の考えは間違っているのです。
少し前、携帯電話を持ち歩いて電話ばかりではなく、テレビを見たり、買い物をしたりするなどまったく想像も出来ませんでした。
その時代に、「20年後はどうなるのか」と考える時には「携帯電話のない社会」を想定しているのです。つまり、その部分が間違っているわけです。
そして、もう一つ、人間は「今の自分が正しいと思っている」ということから必然的に「確かに今までは変化してきたけれど、これからは変化しない」と思う癖も持っています。
つまり、今は存在せず、将来、誕生するものは自分の頭の中に入っていないので、そんなことはできないと錯覚するのです。
・・・・・・・・・
これが、将来は常に暗いという予想をする人間の頭の限界です。
地球が誕生したとき、大気はCO2がほとんどでした。それが生物によって分解されて炭素と酸素になったのですが、今、大気中にある酸素の相手の炭素だけを考えても、石油のようなエネルギー資源があと500万年分もあるという計算になります。
「そんなバカな!」と言われます。それは「現在の知識では、地球の表面にある「新石油」が見つかっていない」というだけのことで、すでに地球が誕生したときと、現在の大気中の酸素の量が判っているのですから、少なくとも500万年分、新石油があるのは間違い無いのです。
ただ、今の人間にはそれを見つけることができないというだけのことなのです。
・・・・・・・・・
地球が温暖化して怖いと心配しています。それで私が「海をかき混ぜれば良い」とか、「宇宙にスリットをおいたらどうか」と言いますと、「そんなことはできない」と反論にあいます。
たしかに一つ一つのことは出来ないことと出来ることがありますが、人間は知恵があるので、決して将来が今より悪くなることなどないのです。
テレビを見ていましたらアイスランドの火山が噴火していて、「大変だ」と叫んでいましたが、火山は噴火するもので、噴火しない方が気味が悪いとも言えます。
「人間はその脳の構造から将来を悲観的に見るが、未来はかならず今より良くなるのが歴史的事実だ」と思い返したいものです。
自分は将来を見通せるほど偉くはなく、歴史を越えることもできないと思うのです。
・・・音声がついています・・・
(平成22年4月19日 執筆)