かつて「王様」がおられたころ、民を代表していたのが「議員」だった。
議員は、名誉職のボランティアか、もしくは庶民と同程度の報酬をもらって、庶民を代表していた。
もし、議員が貴族ならどうなるだろう。王様の行動を庶民の立場でチェックすることはできない。だから、もし議員になる人がお金持ちやその地域の名士ならボランティアで報酬をもらうと曲がる。
もし、庶民が議員をするなら生活の糧が必要だから、報酬をもらうが、これも庶民と同じ程度でなければ議員として庶民を代表することは出来ない。
かくして、諸外国、特に民主主義を勝ち取った国の多くがボランティア的な議員制度を持っている。
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日本も戦争に負ける前は「貴族院」と「庶民」に別れていて、庶民の議員の方の待遇は良くなかった。報酬も低かったし、「議員年金」などというものもなかった。
アメリカ軍が占領しているときに、「いかにして日本の議会制度を骨抜きにするか」を考え、議員報酬を上げて議員年金を創設した。
今や、国会議員は年俸4000万円、地方議員は2000万円の時代になった。
もとより、全国津々浦々には地元の為に自分の報酬を犠牲にしている議員もいる。青森県鰺ヶ沢町もその一つで、議員報酬は普通の給料よりずっと低い。町の再建のために議員自らが努力している。
名古屋市に近いところでは四日市の議員も偉いらしい。
でも名古屋市の市議会議員は2000万円を超える。この問題を名古屋市議ご自身がどのように考えて処理するのか、あるいは名古屋市民がどうするのか、11月議会では正念場を迎える。
年俸2000万円以上というと貴族である。貴族なら議員はできない。どちらかを選択するのが普通だろう。
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当面、名古屋市議会には目を離せない。
現在は「減税10%」の攻防をしているが、問題は「議員は庶民の代表なのか」という問にかかっている。
もし、議員が名実共に庶民の代表になったら、日本も良くなるだろう。
今のところ、アメリカの占領政策は功を奏し、日本の議員はあまりの待遇の良さに「自分はいつまでの続けたいし、子供や孫の代まで」と切望している。
かくして庶民は政治には無縁になり、日本は骨抜きになった。
(平成21年11月6日 執筆)