日本の自然は美しい。この美しさには生物の多様化が一つの要因になっている。
たとえば、紅葉だが、日本の紅葉は錦織りなすと言われるとおり、とても美しい。
それに対して亜寒帯のヨーロッパやロシアの紅葉は、銀杏の黄色に代表されるような黄色と褐色の比較的、単純なものである。
どちらが美しいかということは別にして、日本の紅葉がこのように綺麗なのは、27種類とも言われる紅葉する植物の複雑さによる。ヨーロッパの主たる色は3色。
日本の紅葉の種類が多いのは、日本が「温帯の島国」という特殊な環境にあるからだ。小さな島はあるけれど、日本ほどの島が温帯にあるのは北半球では日本だけである。イギリスも島国だが、イギリスは日本に比べて北にあり、イギリスの北には生物が多い地域はない。
だから、日本では、寒冷化したときに北の植物が日本に育ち、温暖化の時には南の植物が繁殖したからと言われている。
最近、マスコミや環境運動家が「生物多様性」と「外来種排斥」の2つの矛盾したことを口にしている。生物が多様化し豊かな自然ができるのは、外来種が入ってくるからであり、それを飲み込んで日本の自然ができる。
文化もそうで、日本のように多くの文化を取り込み、それを日本文化と融合させることによって世界でもまれに見る多様な食文化や服装のデザインを生み出してきた。
たとえば、外来種として有名なブラックバスは1920年代に食糧確保を目的として輸入され、当時は日本の淡水魚に勝てなかった。
でも、次第に日本の自然が汚れてきたので、ブラックバスが繁殖するようになったのだ。
そこで、マスコミとNPOが一緒になって「外来種排斥運動」をしている。特に朝日新聞などを見ていると、外来種=悪、と決めてかかった記事が一面のトップに掲載されたりしている。
「外来種排斥」というのはお金になるという。ある外来種に目をつけてマスコミが追放キャンペーンをする。それを受けて運動家が環境省などに「外来種追放運動補助金」を申請し、ある場所で繁殖している外来種の50%位を毎年、殺す。
でも、繁殖する条件が整っているので、次の年はまた繁殖しているので、毎年、お金をもらって「駆除」する。実にうまみのある商売である。
短絡的なマスコミとお金の欲しいNPOが一緒になって「税金が貰えるから、錯覚させてブラックバス排斥のお金を取ろう」というような方に考えを持って行かずに、「日本の自然を取り戻そう。そうすれば日本の淡水魚が増える」と正しく考えることだ。
なんでも「補助金」では日本は衰退する。補助金で日本人を乞食にし、補助金で日本の自然の多様性を破壊しようとしている。税金を出す方ももらう方も、日本と日本人のことを真剣に考えて欲しい。
駆除しなければならないのは外来種ではなく、日本の文化と自然を破壊するマスコミと運動家、それに税金に巣くって生きる政治家と役人だ。彼らはこの美しい日本にすんでいるが、おそらくは景色を見たことはないだろう。
(平成21年11月5日 執筆)