「バカ」と呼ぶのは失礼な感じがするが,関西流に「アホ」というと何となく緩和される。

「アホやなー」という報告が国立環境研究所から出ている.次の表だ.(クリックすると,ハッキリ見えます)

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簡単に言うとこれを作った人は,悪いけれど「節約」に変質的な執着があるか,よほどお金に余裕があるのだろう.

普通の人は,向かって左の数字はいらない.右だけあれば,どうすればお金を節約できるか判る.そして,表の全体を見ると「節約できれば,CO2も減る」からだ.いちいち覚えていられない.

お金とCO2があわないのは,下から2番目の「まとめて洗濯」だけが違う。計算を間違ったのだろうが,何時の日か説明を聞いてみよう.

また上から2番目の「煖房」のところは傑作だ.なんとなく一人で微笑んでしまう.

「温暖化」を防止するために寒いのを我慢しろといっている.えっ?「寒いから温暖化を防げ」!?

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いやはやとんでもない表だ.

私たち庶民は,何のために残業までして働いているのか? お金が必要だからだ.そりゃ,国立研究所の人は私たちの税金で暮らしていて,不況もないからこんなことをして遊んでいる。

この表が言っていることは,ケチケチ生活をすると,CO2も減り,お金もあまるということだ.(実は国立環境研究所は,これまで「お金とCO2は違う。だから,お金を節約しなくてもCO2を削減できる」と言い続けてきたことに注意.)

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この表に書いてあることを全部すれば満点をくれて,お褒めの言葉をいただけるだろう。そして手元に42880円の余る.

これを計算した人はKさんという人だが,Kさんも4万円は節約したと思う.自分で計算したのだから,やらなければ日本人ではない。誠がない.

でも,私もこれぐらい,奇妙な表を見ると,ついイジワル心がでる.「あまった42880円はどうしたのですか? まさかドライブに行った訳じゃないでしょうね」

そして,節約して余ったお金を銀行預金したら大変なことになる.

預金はすぐ会社に貸し付けられて資源を使いCO2を出す.銀行に預けたお金が金庫に眠っているわけではない.そして,1年経って預金を引き出して,ドライブしたら温暖化はさらに加速する.

ダブルパンチだ.預金したお金で誰かがCO2を出し,引き出してKさんがまた使う。2度も利用されて,CO2を出す.

4万円を税金にだすとKさんが使う.Kさんは公務員だから・・・言い過ぎかな?

気を取り直して,前向きに提案しよう.

この表の一番下に「42880円を預金」という項目を作って,CO2を計算すると,1223.8kgに近い値になるはずだ.そうすると,この表に従うとCO2は2倍に増える.

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だいたい,どういう生活をするかとか,お金を何に使うかが自由なのが,その人が人間である証拠だ.「これに使え!」などと言われたら,その人は家畜である。

いやな世の中になったものだ.国立研究所の若い研究員に生活指導を受ける.

表の中程にテレビを一日,一時間見るのを止めろといっている。テレビをみなければ何をするのか?読書? 読書は私の計算ではテレビよりCO2をだす.紙は使うし,印刷はする.

テレビを見ないでCO2を節約しようとすると,布団に入るしかない.そうすると人口が増えてCO2がでる.でも,白熱電球を蛍光灯に換えると,電気代は安くなるけれど,買うときにお金がかかる.それに鉛と水銀がでるので,それで早死にする.ひょっとするとそれも計算に入っているのかな?まさか,蛍光灯は鉛と水銀を使っている事を知らない訳ではないだろうから.

若いKさんはまさか人間がCO2のために生きているとは思っていないだろうが,それにしても,他人の人生を決めるような生活指導をするぐらい偉いのなら,Kさんが書いた人生論を読んで見たい.さぞかし立派な偉人なのだろう。

あまりカッカとなってはいけないが・・・・・

まったく,イヤになってしまう.これが税金で行われていると思うと,なんとなく胸くそがわるい. 

(平成21915() 執筆)

(注1) 税金で生活する公務員が税金を納める人の気持ちになるのは難しい.それは動物としての人間としては無理だろう。頭の良い人なら,自分の行為を正当化することはできるが,よくよく考えると判らなくなるだろう。公務員1人1人が悪いのではない.人間には適さないシステムなのだ.それは「国家」というものができた数千年前に,偉い人がそう言っている。

(注2) CO2の計算はいつも恣意的である.まとめて洗濯すればお金も節約できるし,CO2も減る。この計算をした人は製造現場にはいなかったので,水道は神様が送ってくれていて,まさか電気を使っているとは思っていない.現場を知らないというのは恐ろしい.