鳩山新政権ができて,全体としては好印象だ。だけれど,2,3,気になることがある。その一つが「郵政民営化見直し」だ.

郵政民営化には問題があったかも知れない.また,私もなにか日本郵便には違和感のある.

でも,日本は民主主義だ.今度,鳩山さんが政権をとったのも,選挙で多くの民主党候補者が当選したからだ.ただそれだけのことで,国民が鳩山さんの人格そのものを判定して,民主党の当選が少なくても鳩山さんに首相になってもらいたいと考えたわけではない.

民意がすべてなのだ.

4年前,郵政選挙があった.そして自民党が圧勝した.あれは「小泉劇場に国民がだまされたのだ」という人がいるが,そんな人は意見を言ってはいけない.

国民はだまされない.情報さえ正しければ国民の判断が正しいのだ.そして,郵政民営化自身が何をもたらすのか,それは利権政治からの転換だということは国民は理解して投票した.

だから,「小泉劇場にだまされた」というのは主権者の国民に失礼であり,もし,それがマスメディアの報道にあったら,マスメディアが退陣しなければならない.

わたしはあの時の選挙を見て,国民は郵政を民営化した方がよいと判断したと思う.そして今回の選挙は「政権交代」に主眼があったのだから,国民は2つの重要な判断をしたと考えるべきである.

1) 郵政は民営化する(4年前)

2) 政権は交代する(今度)

どちらも有効だ.こんなにハッキリしている(両方とも約300議席)のを,造反した人たちの意見では変えられない。

おそらく郵政民営化にいまでも反対している亀井さんのご意見も正しいのだろう.でも民主主義というのは,意見を戦わせたら後は国民の判断に従うのだ.

それももう4年前に終わっている。

私は民主主義を尊重したい.そして個人には個人の意見があるが,何が正しいかは分からない.ただ私たちのルールは選挙を第一とすることだ.

(追補)

ある読者のかたから,ご意見を頂いた.民主党のマニフェストには郵政民営化の見直しが詳しく書かれており,政権交代はスローガンであり,政策として見直しは主たる政策であるということであった.

たしかにその通りなので,追補を書くことにした.

私は亀井さんという人は立派だと思う.自分の信念を貫き,自民党にいればそれなりの待遇をえたのに,党をやめ,これもあまり好きな言葉ではないが,「刺客」と戦い,僅差で勝ち,苦節4年,今回,大臣になった.

政治家としては立派な態度だ。しかし,4年前,国民は郵政民営化に賛成した.その時に反対した人が,その時の理由で民営化を覆すというのに疑問があるのが第一点である.

そして第二点が私の主たる考えだ.

郵便局がある時に,私はとある組織の借入金の状態を知っていたが,郵政という官の「押しつけ借金」はすさまじかった.政治家を使い,圧力をかけ,高利で無理矢理,貸し付けていた.私はその利息と金額を聞いて,ビックリしたものだ。その組織は税金で運営されていた.つまり,内部のやりとりなのである.

もし,郵政民営化を見直すなら,民営化の悪いところだけではなく,かつて郵政がどのようなお金の温床となっていたのか,それを白日のもとの晒し,主権を持っている国民が冷静に判断できるようにして欲しい.特に,亀井さんは警察出身なので,その辺の事情はよく知っておられるだろうから.

(平成21916() 執筆)