私はあまり「温暖化,温暖化」と学者が強調するのには賛成ではない。マスメディアは学問をあまり勉強していないし,社会が騒ぐことを目指しているので,それはマスメディアに任せることにしても,学者は「これまでどうだったか」にも注意を払わなければならないからである。

次の文章は,今からそれほど昔でない時に,立派な書籍に書かれていたものである.

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まるで現在のIPCCや日本の環境関係の学者と同じように「権威あるところで,複数の学者が十分な検討をした結果」ということが前提になっていて,それに次のような文章が続いている。

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温暖化狂騒曲が吹き荒れる日本で,この文章をどのように読むだろうか?これは,今からあまり古くない時代で,すでにCO2の影響も計算に入れている。

ただ,違いは,その頃は少しずつ気温がさがっており,現在は少しずつ気温が上昇しているということだ.つまり,学者は「今の気温が上がっていれば温暖化すると言い,今の気温がさがっていれば寒冷化する」と言ってきた.

これでは将来予測ではなく,現状の延長線上に進むことだけを言っているに過ぎない。

「学問は将来を推定することはできない」というのはこれまでの学問の鉄則だった.それが温暖化に関しては覆るかも知れないが,その確率は低いと判断しなければならない.

なにしろ,仮に「100年後は3℃あがる」というような予測が成功したなら,それは人類初の「学問の将来予測」が当たった事例になるからである。

マスメディアや政府,そして自治体の人はどうでも良いが,およそ専門家なら,「30年前は寒冷化と言っていて,その論理も今の温暖化と同じだった」ということを頭にいれて発言して欲しいものである。

(平成21725日 執筆)