北朝鮮が原爆実験を続けている。そして国連は非難決議をして制裁に入り,日本もそれに積極的に参加している。
この問題をどのように考えるか。私たち日本人が世界で唯一の原爆被害国であり,また北朝鮮がお隣に国だから,とても難しい.でも,あえて少しこの問題を考えてみたい.
その前に,私が徹底した平和主義者で原水爆絶対反対であること,同時に日本の自衛隊は正式な軍隊になるべきだと考えていることを明確にしておきたい。
一見して矛盾するこのことは別の機会に論を展開したいと思う.
ここまでは以下の論議を始める前に示しておきたい私のスタンスである。繰り返すと私は原水爆絶対反対である.
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北朝鮮の原爆は「悪いこと」だろうか? そもそも北朝鮮という国が悪い国なのだろうか?
世界の国はそれぞれ独立していて,それぞれの国が,自ら「良い」と思っていることをしている.だから,ある国が「悪い国」ということはない.
しかし,その国と関係している他の国(たとえば北朝鮮と関係している日本)にとっては,相手の国が自分にとっては困ることをすることがある.その一例が「北朝鮮による日本人の拉致」である.
北朝鮮は日本の領海や国土に入ってきて日本人を拉致した.このことは北朝鮮も認めているので,事実である。これは,日本にとって困る.だから,拉致は止めること,拉致された日本人を帰すことを日本政府が強く求めるのはまずもって大切である。
でも,国というのは互いに争うこともあるものである.争いがないのが良いけれど,現実はそうでは無い.その時には,自分の国や国民に被害を与える相手を批判すると同時に,自らの国民はその国の軍隊が守る。
ところが,日本には軍隊がない.軍隊がなければ「海上保安庁」が日本人を守らなければならない.自衛隊は軍隊ではない.
自衛隊ほど可哀相な組織はない.形は軍隊,内容も軍隊なのに,日本国憲法の9条があるので「自衛隊」と言っている。「軍」と呼ぶのが後ろめたいので言わない.
でも,「軍」ほど誇り高いものはない.なぜかというと「自分の命を投げ出して他人を守る」という職業ほど立派なものはないからだ.
警察や消防も偉い。でも,「命を捨てること」が前提になっているのではなく,「命を落とす危険性のある職業」である.だから,「軍」の方がもう一段,偉い。
ところが,日本人は「軍」を認めない.つまり憲法を改正しないのだ.軍がいなければ外国に対して守ってくれる人はいないので,拉致もしかたがない.
海上保安庁でも拉致は防げたかも知れず,これについても別途の機会に整理をしたいが,まずは「軍隊がなければ他国からの攻撃に守ることはできない」ということであり,「日本は軍隊を持たないから,拉致を防げないのは当然だ」と考えた方が良い.
軍隊を持たないのは日本人の選択だから,それはしかたがないが,軍隊を持たなければ身を守れないのも同時に覚悟はしておく必要がある.
北朝鮮も一つの国だから,おおっぴらに謝ることは難しいだろうが,ともかく拉致した事を認め,その内,ある程度の人を返したことで,国際的には謝った形になっている。
日本人としては引き続き全員の帰還を求めると共に,「私たちは国民を守る軍隊を持っていない」ということを考えることも大切である。
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さて,拉致の問題を考えた後で,次に北朝鮮の原爆実験の是非を次回に論じたい.日本には北朝鮮の人が多い.そして日本人自身も関係者がおられる.だから,北朝鮮の問題を論じることは難しいが,今の日本のマスメディアのように「北朝鮮が悪い」と言っているだけでは,私たちの頭や整理できないと思い,あえて考えてみたいのである。
(平成21年6月27日 執筆)