1969年3月12日は,東京の温暖化では記念すべき日であった.3月12日,東京は「気象庁観測以来の大雪」に見舞われ,東京の交通はほとんど止まった.
気象庁は明治9年,つまり1876年から東京の気温を測定していて,1969年という年は観測し始めてから,実に93年ぶりのことだった。
1969年という年は,「温暖化」という点ではCO2がかなり増えて十分に温暖化している時期である.
【解説】
この1969年の冬というのは全体的には暖冬だったのですが,気温の上下や寒気団の変化が激しく,東京は1月に23℃を記録したと思えば,3月の大雪と今年(2009年)のように気温の上下が激しかったのです。
温暖化の話では,日本の気温は1880年以来,上昇を続けてきたと言いますが,1969年に東京に大雪が降るというのは温暖化とどういう関係にあるのでしょうか?
実は,「温暖化」という現象は全地球的なもので,部分的な気象の問題では無いのです.たとえば,日本は温暖化していますが,南極の気温は変わっていないと言われています.
「南極は何で温暖化していないのだ!」と怒る人がおられるので,「なんで,南極が温暖化していると思うのですか?」とお聞きすると,「日本が温暖化しているから」とか,もう少しわがままな人では「俺の子供の頃より暖かいじゃないか!」と言われたりします。
温暖化はしているのか? 温暖化の原因はCO2か? 温暖化は怖いのか? このようなことを考えるときに,「個別の気象」を持ち出さないこと,それをこの東京の大雪が示しています。
温暖化懐疑派という人がおられるそうですが,懐疑派も懐疑派では無い人も,決して個別の気象を持ち出して,自分の意見を補強しようとしないようにしましょう.科学は事実が先ですから.
特に科学者や専門家の人に御願いしたいと思います。 NHKはもうすでにすっかりダメになったので.
(平成21年3月14日 執筆)