100年後の温暖化の心配を聞くたびに,「100年間も,社会に何も起こらないとお考えかな?」と不思議に思うことがある.
人間というのは本当に素晴らしいもので,欠点も多いけれど,全体としてみれば,社会はハッキリと進歩していく。
今から80年前というと,戦争の直前だけれど,ほとんどの女性は毎日,掃除洗濯育児で追いまくられ,ぼろぼろになって43才でその命を落としていた.
毎日の生活は,今から見ると悲惨で,朝早く起きると台所の火をおこし,どんなに寒い日でも外に出て洗い場に行って少しの水をくんできた。
家族が健やかで毎日が無事に済んでいくこともあったけれど,流産も,子供の死別も,そして夫のお酒の暴力もあった.そんな中で苦しい人生を送ったものだった.
その頃の記録を見ると,毎日の重労働でこれも心身ともにボロボロになった男は,「もう,俺は生きるのはいい」と言って死を怖がることはなかった。
そんな人生から見ると,わずか80年で,私たちは素晴らしい生活を手に入れたのである。その多くは家電製品とか住宅といった科学技術がもたらしたものだったが,それだけではない.やはり社会システム,政治などもともに革新していったからである。
そしてそれもまだ途上だ。 自由な生活を手に入れた女性は,今,どのような人生が一番,幸せなのか?と模索している。 それは当然だろう。なにしろ,今から1500年前,戦争が多くなってからこの方,女性は抑圧されてきたからだ.
でも,1500年のブランクはそれほど簡単には解決しない.少しずつ,女性の人生が見えてくるだろう。そんなときに,「女性はバカで暇だから,分別でもさせておけ」という学者の言葉が思い浮かぶ。
社会は変化している。 決して,100年間,そのままではない.
(平成21年3月13日 執筆)